キーワードは「換骨奪胎」と「地政学教本」

2019年2月6日

まずは目次をみてください。
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目次
まえがき─なぜ地政学がいま注目されているか・・・1
第1章 栄えている者はなぜ栄えたかを知りたい!
「世界における英国の一人勝ち」の理由探しから始まった地政学・・・14
 帆船から蒸気船への進化が変えた「日本の間合い」・・・16
 船用エンジンの普及は、アメリカを難攻不落にした・・・20
 地政学を後押しした恐怖の「社会ダーウィニズム」・・・21
第2章 マハンとセオドア・ローズヴェルトという史上最強のタッグ
 マハンの父デニスと、「ウェストポイントの父」・・・27
 ドイツの空気・・・32
 アルフレッド・マハン、海軍兵学校に入る・・・33
 マハン、大坂湾で徳川慶喜を観察する・・・36
 父デニス・マハンの自殺・・・37
 米国海軍大学校とは?・・・40
 マハンを指導したルース校長・・・43
 海大は議会を啓蒙せよ!・・・46
 地政学の偉大な実践者「TR」について・・・47
 ニューヨークのオランダ人・・・49
 「棍棒政策」はTRの実父そのものだった・・・50
 時代の不満を捉えた海戦史研究・・・53
 ジェファソンは最悪の大統領だったと断言・・・55
 TRのイメージ戦略・・・57
 セオドア・ローズヴェルトの政界復帰・・・60
 マハンの主著が完成する・・・61
 その後のTR・・・63
 マハンは何を語ったか─『海上権力史論』の裏を読む・・・64
 マハンの卓説:「艦隊は分割するな」・・・70
 マハンが心配しなかったこと・・・72
 マハン理論の瑕疵・・・74
 マハンの「情勢一括把握」の思考力を日本人は自分のものにできたか?・・76
 マハンと通称破壊戦・・・79
 マハンの晩年・・・82
第3章 マッキンダーの地政学は何を語ったか?
 グローバリズムのアンチとして・・・88
 ロシアを特別にしたのは何か?・・・90
 「ハートランド」とはどこなのか?・・・91
 <独立中小都市>に最高の価値を認めたマッキンダー・・・92
 暑いと帝国ができやすく、寒いと都市ができやすい・・・94
 イタリア都市国家の勃興と廃滅・・・96
 温暖気候が欧州帆船の喜望峰到達を至難にしていた・・・98
 ヨーロッパは、ひとつの「半島」・・・101
 遊牧民の攻撃が「西欧」を結束させた・・・103
 「間接侵略」への地理的耐性・・・105
 プロイセン人はもともとスラヴ人だった・・・107
 1878年の世界輸送革命・・・112
 「統制・計画経済」の創始者たち・・・・115
 「常に半ヤケ」の兵営国家がつまづくと・・・ ・・・117
 マッキンダーがついていけなかった石油の地政学・・・119
 近代ドイツ軍システムの登場・・・120
 ドイツ海軍が英国の脅威だったマッキンダーの青年期・・・121
 ティルピッツとドレッドノート・・・123
 アテネを衰亡させた「恐怖」とは?・・・125
 第一次世界大戦はドイツ民族が起こした、とするマッキンダーの説明・・・128
 鉄道は航空攻撃には負ける・・・129
 「ハートランド」がユーラシアの港を占領支配できなかった実例・・・134
 1本のシベリア鉄道が起こした波乱・・・136
 ロシアの地政学的性格・・・138
 それでもドイツは再び脅威になると予見したマッキンダー・・・140
 「広域単一専制」は不可能な夢想だった・・・142
 英国の海上覇権から米国の海上覇権へ・・・144
 米国が孤立主義路線を採ることはあり得るのか?・・・145
第4章 戦争と石油の地政学
 英国はいかにして軍用石油を確保できたのか・・・151
 オクタン価戦争・・・152
 スターリングラードにこだわったのにも地政学的な理由あり・・・156
 なぜドイツ軍の車両用エンジンはディーゼルではなかったか・・・159
 ソ連軍の石油事情・・・161
 ドイツの対ソ戦略のジレンマ・・・164
 スターリングラードは石油輸送の結節点だった・・・167
第5章 支那大陸の地政学
 殷から周へ・・・174
 馬の利用法の伝播・・・177
 生産スタイルと馬の相性・・・178
 春秋時代のはじまり・・・180
 気候変動と遊牧民・・・183
 農耕者集団の弱み・・・184
 農耕社会の強み・・・185
 二つの社会は戦国時代に融合した・・・187
 秦の天下統一の理由・・・190
 捕虜労働力と気候・・・192
 秦の滅亡と漢帝国・・・・193
 漢朝の衰退と隋唐帝国・・・195
 古代の遠征補給・・・196
 「征伐」の真相・・・197
 弓と弩の戦い・・・198
 とつぜんの温暖化と「三国志」・・・201
 集中と分散の原則・・・203
 鮮卑系の統一王朝とその後・・・204
 内部から必ず裏切り者が出る文化・・・206
 鎖国ができる国土とできない国土・・・208
第6章 ドイツの地政学徒たちは何を言ったか?
 フリードリッヒ・ラッチェル・・・212
 ルドルフ・チェレーン・・・215
 カール・ハウスホーファー・・・217
第7章 スパイクマンは何と言ったか?
 非米世界では地域の強国と準強国とを拮抗させておけ・・・229
 リムランドの発見・・・230
 米国はドイツと日本を手離すな・・・235
 航空基地の地政学・・・236
 弾道ミサイルの地政学・・・237
 スパイクマンが予測もしなかった今日の世界・・・238
 機雷の地政学と毛沢東の人民公社・・・239
第8章 日本防衛の地政学
 日本と英国の「地勢」は本当に似ているのか?・・・245
 英国の地位は「風」が決定した・・・246
 恐怖の日本近海・・・248
 本邦で最初の「地政学者」は誰か?・・・251
 薩摩の地政学・・・252
 日露戦争での樺太作戦・・・255
 もはや日本は朝鮮半島を必要としない・・・258
 大正時代の大しくじり・・・259
 「ワシントン軍縮条約」が「日米戦争」を不可避にしてしまった・・・262
 正規の筋悪取引だった太平洋防備の制限・・・266
 もし軍縮条約がなかったら・・・?  ・・・270
 世界大恐慌も起きなかった・・・276
 「明るい戦前」が実はあり得た・・・277
 海底電信の結節点になっている島嶼に注目せよ・・・280
 海南島の占領で「自衛」の説明ができなくなった・・・281
 日本海軍の国際条約無知・・・285
 エンバーゴ(経済制裁)とブロケイド(海上封鎖)は違う・・・287
 地政学の無知から自滅の戦争へ・・・290
 錫は石油以上に貴重な物資だったのか?・・・293
 真珠湾の大ヘマ?・・・295
 アマチュアは戦術を語り、プロは補給を気にする・・・302
 開戦後の石油・・・304
 戦艦の正しい使い方は何だったか? ・・・306
 マリアナまで海送されてくるガソリンを潜水艦で阻止していたら・・・? ・・・309
 機雷こそは「地政学的兵器」である・・・312
 すばらしい戦後日本の地政学的環境・・・315
 儒教圏のネガティブ・ソフトパワー・・・320
 「シェール・ガス革命」と「パナマ運河拡幅」が意味する地政学の新事態・・・323
 八戸港は東京よりもパナマ運河に近い・・・325
 対儒教圏の理想的バリアーとなるハイテク機雷・・・328
 投資しても安全なのは「海の裏玄関」がある島嶼国家・・・331
あとがきにかえて─軽忽な扇動屋に騙されないためには・・・333
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著者は「地政学」ということばについてこういってます。
<無価値なキャッチフレーズに堕していた「地政学」なる語の濫用>
誠にその通りで、一般人の間では、
なんとなく、気分で使われているケースがほとんどです。
<みなさん、騙されないでください。
「地政学的な大転換」は、どこにも起きていません。>
状況変化を説明する言葉として
何かと言えば安易に使われてきた「地政学的・・・」という語。
しかし著者にいわせれば、地政学とは、
世界各国の「変わらぬもの、こと」を見極めるツールを意味する
ものにすぎないのです。
まことに納得ゆく意味付けです。
ここでまず蒙が開かれませんか?
■何が書かれているの?
概要
・地政学の基礎を余すところなく、分かりやすく、面白く解説した「地政学教本」。
・地政学の古典に値するのはマハン、マッキンダー、スパイクマンの3人で、
ドイツの地政学は刺身のつま的存在、など、地政学論の評価を歴史的に整理整頓した
初の書であり、現在の地政学の過半が、戦前のパイオニアの意見の組み合わせに過ぎない
と喝破した、地政学という語に惑わされぬための「インテリジェンス教本」。
・「シナの地政学、石油地政学、わが地政学」という、わが国にとって緊要な地政学
をはじめて一般国民向けに解説した「国防教本」。
という3つの面を持つ本といえます。
特筆すべき点
・地政学の根底にある「ダーウィニズム」の視座を見落とすことなく解説。
 だから、各種解説がスッと体の中に入る。
・地政学の定義を、日本語ではじめてきちんと行った。
・地政学を身につけることで我々が何を得ることができるか?を明らかにした。
・兵頭式「国際事情の見方」の着眼点を知ることができる。
(その非凡さを掴み取ることもできる)
結論
「地政学教本・教科書」の名に値する本邦初、唯一の書。
国家関係が緊張する事態に接しても狼狽することなく対処できる芯を、
一般素人でも、楽しみながら作ることができる名著。
現代の天才・兵頭二十八最高傑作の一つ。(ちなみにもうひとつは「日支宗教戦争」)
今すぐ手に入れ、読んで、生涯の座右の書にしてほしい。

「地政学」は殺傷力のある武器である。
兵頭二十八(著)
徳間書店
発売日: 2016/2/26
http://okigunnji.com/url/83/
※すべてのページが読みどころです
以下はエンリケからの案内です。
よろしければご参考まで。
■わが国得意の「換骨奪胎」の実例。腹の底から日本のすごさを感じました
そう、わが国は、
「日本人が換骨奪胎した日本人のための地政学」
を求めていたのです。
これまであったのは、
「外国の、外国による、外国のための日本語で読める地政学」
だったんですね。
関心ある人の間で、地政学に関する書はそれなりに出回っています。
しかしそのほとんどが外国の書の翻訳・紹介レベルにとどまっています。
それはそれでいいのですが、わが国の知性の高さから見て、そろそろ、
「日本人の日本人による日本人のための地政学」がでてもいいのでは?
と感じていた人は想像以上に多いはずです。
翻訳・紹介レベルでは、一般人には消化できないのです。
そんな期待に応えるため、
わが国で最も優れた軍学者(*)が、ついに筆を取りました。
本著は、
「日本人が最も得意とする【換骨奪胎】」
を、地政学の分野で形にした初めての書です。
本多利明、島津斉彬以来初めてわが国に、地政学を本格啓蒙する人が
あらわれたのです。その名は兵頭二十八。
島津斉彬における西郷隆盛が、これから先、わが国で生まれることになりそうです。
興奮せずにおられるでしょうか?
■日本人の日本人による日本人のための地政学
本著は、地政学を通じて歴史のキモがわかり、
歴史のキモをつかむ中で地政学の感覚を身につけ
ることができる本です。
一番優れている点はやはり、
日本の地政学
が、まことに詳細に、素人にも分かりやすい言葉で描き出されている
ことです。
他国の地政学にはやたら詳しいけど、
自国の地政学が全然わかっていない。
こんな人がやたら目立ちませんか?
孫子も言ってるじゃないですか
「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」と。
このレベルの地政学教本がわが国でできたことが
日本人として本当にうれしく、誇らしいです。
■兵頭二十八という人
地政学を啓蒙する本なのに、歴史の記述や脱線話が多いね。
という印象を持つ人も多いでしょう。
地政学は歴史と不可分一体でありますし、歴史の記述そのものに地政学的
視座がないといけません。ただ、地政学啓蒙の歴史が絶えている今のわが国では、
その種の共通常識がありません。
ですから、地政学を解説するには、見る人によっては「細かな」歴史から説き起こさ
ないと、正確に理解できないのです。一知半解の徒による、本質を取り違えた地政学
ことばを拡散することを抑止できますしね。
脱線話に見える史話もたくさんあります。
マハンの父親の話やTRのミニ自伝など、知られざる歴史の
発掘という意味で面白い内容が実に多いです。
この種のはなしの本筋は「地政学の考え方、感覚が生まれてきた背景」を、
正鵠を射た形で読み手の脳内に描き出すことです。
そうわかってながら、筆力があるせいでしょうか。
思わず読みふけってしまうんですよねw
司馬遼太郎に通じる「面白脱線話」という表現手法を感じました。
ちょっと寄り道
兵頭さんは、おそらくわが国で唯一の一般人向け軍事啓蒙者です。
私、エンリケが信頼する、筆頭の軍事評論家です。
業界では有名ですが、この方、まぎれもない天才です。
天才の特徴の一つは「膨大な仕事量」です。
兵頭さんはまさにこれに当てはまります。
軍事の世界で、個人名で、こんなにたくさん本を出されている人は
他にいません。たとえばこちらをご覧ください。
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兵頭二十八(ひょうどう・にそはち)
1960年長野市生まれ。函館市在住。陸上自衛隊北部方面隊に2年間
勤務した後、神奈川大学英語英文科、東京工業大学社会工学専攻博士
前期課程(江頭教夫研究室)、月刊『戦車マガジン』編集部などを経て、
現在は著述業。
著書に『「日本国憲法」廃棄論』『日本人が知らない軍事学の常識』
『北京が太平洋の覇権を握れない理由』(以上、草思社文庫)、
『新訳 孫子』『[新訳]フロンティヌス戦術書』『「日本陸海軍」失敗の本質』
(以上、PHP研究所)、『日本海軍の爆弾』『地獄のX島で米軍と戦い、
あくまで持久する方法』(以上、光人社NF文庫)、『極東日本の
サバイバル武略』(並木書房)、『精解 五輪書』(新紀元社)、
『こんなに弱い中国人民解放軍』(講談社+α文庫)、
『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』(メトロポリタン・プレス)
など多数。
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その他、「着眼点」「発想」などの面で、さまざまな伝説を聞いています。
(兵頭二十八都市伝説の一つに「若いころ、防研図書室のすべての図書を
読破した」というのがありますが、これはご本人から「さすがにそれはありま
せん」と否定されましたw)
(*)現在、兵頭さんは「軍学者」の肩書を使っておられません。
ただ、氏を評する言葉としては軍事評論家でなく、軍学者が私には
いちばんしっくりきます。
軍学者のイメージは、
・一般人向けの啓蒙をしている、
・軍学(≠軍事学)に関わる全て、とくに歴史に精通している、
・自由自在な立場から、武に関連する分野で注目すべき言論活動を行っている、
というもので、こういう総合者はいま、兵頭さん以外にいません。
■まとめ
この本は、
日本人の日本人による日本人のための地政学教本。
「地政学的に国際事情を捉えることのできる人間」でなく
「地政学を通じて国際事情を思考できる人間」になれる教本。
自立した日本人に必要不可欠な知恵が満載の地政学教本
です。
あまりこういうことは言わないのですが、
すぐに手に入れてください。
そして、すぐに読み始めてください。
このメルマガを取っているあなたが読まない理由が見つかりません。
この本に書かれていることが、
世界の中のわが国、を考える際の基盤です。
生涯の伴侶足りうる傑作です。
あなたにだけは読んでほしい。
心の底から、そう思います。

「地政学」は殺傷力のある武器である。
兵頭二十八(著)
徳間書店
発売日: 2016/2/26
http://okigunnji.com/url/83/
※すべてのページが読みどころです