日本×統一朝鮮というシナリオ(5)

つまり飛び越したからよかったものの、弾頭部だけではなく、分離した一段ロケット自身が日本列島に落下する可能性があったわけで、それが危険だということなのです。なにかの拍子に大気圏内で切り離された部分が日本を直撃するかもしれない。ですからこれを排除するためにもミサイル防衛は欠かせないのです。
北朝鮮から日本に核ミサイルが撃ち込まれる可能性はないと考えているから、在日米軍はまったく騒ぎません。一方、北朝鮮から韓国には核ミサイルが飛んでくる可能性があるから在韓米軍は作戦計画を変え、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)を置きました。

ということで、日本に核弾頭付きのミサイルが撃ち込まれる可能性は限りなく低く、飛んでくるとしたら核弾頭付きでないものになります。核ミサイルでなければ人は意外に死なないものです。先日イランが報復としてイラクにある米軍基地を弾道ミサイル攻撃しましたが、事前通報もあり人的被害はありませんでした。そもそもその対象は人ではなく施設だということです。

もし私が悪い国として日本を攻撃するとしたら、ノドンミサイルで原発を狙うと同時にゲリラ・コマンド作戦(以下「ゲリコマ」と呼称)も合わせ全勢力を原発攻撃に集中させるでしょう。
今の日本のような現状では、原発を守る能力はきわめて不十分です。破壊された原発は放射能に汚染され、それによって日本中がパニックに陥ります。これこそが相手の狙いです。勝てる見込みのない正規軍でガチンコ勝負をして他国に侵攻しようとは、はなから思っていません。

原発を守るためには、イージス艦やイージス・アショア(※現在はイージス・システム搭載艦)により日本海上空の宇宙空間で弾道ミサイルを迎撃し、それを逃れたミサイルをPAC3が排除する。特にすべての原発施設には平素からPAC3は配備しておくべきです。
PAC3は40基足らずしかなく、そもそも20キロ四方しか守れない拠点防衛用の対空防御用のシステムですから、重要防護地点に配備しないと本来のミッションは果たせません。重要防護地点とは、皇居、官邸、防衛省、そして原発です。
しかしPAC3ではゲリコマを防ぐことはできません。ここで陸自が登場します。2004年に制定された国民保護法、武力攻撃事態法によって、自衛隊は「戦える国」となりました。そこで陸自の各方面隊は「原発をどう守るか」について原発と密にやり取りしていたのですが、最近はあまり話を聞きません。災害派遣の連続で忙しいでしょうが、原発へのゲリコマからの攻撃を防ぐというのは陸自の任務です。

(つづく)