GSOMIAの裏側と韓国人の米軍依存(4)

2018年12月20日、能登半島沖の日本海において韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」が海上自衛隊のP-1哨戒機に対して火器管制レーダーを照射しました。この件に関して私が心底驚いたのは、「国家があそこまで稚拙な嘘をつくのか」ということでした。

火器管制レーダーとは、射撃指揮システムで使用されるレーダーです。それを照射することは、模擬攻撃と見なされるとして、特に海軍士官たるもの平時においては「絶対にやってはいけない行為」として、CEWSというアジア太平洋地域の海軍間で取り交わした信号書で明記されています。そもそも友好国なのに、P-1を敵機とみなしたということですから。

現場は当然、そのようなでたらめな行為をしたなどと上級司令部に報告しませんから、韓国海軍参謀総長は国防省から伝えられてこの一件を初めて知り、激怒したそうです。そして「なぜそんな馬鹿なことをしたのか徹底的に調査せよ」と指示したところ、国防省から「調査をするな」と指示されたそうです。
以来、韓国海軍からのコメントは一切表に出ることはなく、すべて大統領府の命令のまま話す国防省の女性報道官が嘘ばかりを発表しました。その内容は、嘘をつくにももう少しまともな嘘がつけないのかと思うほどでたらめで、最後には画像を加工してデータ改ざんまでしていました。
P-1が低空飛行していたという自分たちの嘘の主張を証明するため、レーダー画面の高度表示の「2000フィート」の0をひとつ消して「200フィート」にするなど、低レベルすぎて相手にするのも情けなくなりました。心ある韓国海軍の軍人たちは、どれほど恥ずかしい思いをしたでしょう。「海軍首脳はわかっていたのに言えなかった」と、韓国の知人から後日言われました。

当時のアメリカは、「文・アドミニストレーション(大統領府)」と「ガバメント・オブ・コリア(韓国政府)」を、政府発表の際に使い分けていました。つまり韓国政府とは別組織、というくらい大統領府があまりにひどい、愚かな判断をすることに、アメリカ政府は業を煮やしていたということなのです。

大統領という存在は、逮捕権もあるなど極めて強い権限がありますから、自分に逆らった者に対しては、適当な理由を付けていつでも逮捕できます。実際、文政権発足直後、関係者を逮捕するなどして、韓国国防省の機務司令部という情報保全組織を潰しました。当時の司令官は抗議のため自殺しています。このような強権ぶりを見せられれば、おのずと文大統領の周囲はイエスマンだけになりますが、恐らく当時の韓国国防大臣は、自分ひとりだけで諸々の理不尽に耐え「後輩の国防大臣にはこういう思いをさせない」と、文政権と心中するつもりでいるのでしょう。韓国はやっと保守系が元気になってきましたから、この先はもう少しまともになることを期待しています。