ドイツ空軍地対地ミサイル フィーゼラー Fi 103 / FZG-76（V-1）

一般的に ”V-1”として知られる兵器で、Fi103はフィーゼラー社の型式でFZG-76は軍の秘匿名称です。良く言われますが、現在の巡航ミサイルの御先祖様と考えても良いでしょう。飛行爆弾の計画自体は目新しいものでは無く1930年代にはV-1の形態とは多少異なるものの、軍は一部のメーカー（アルグス社やフィーゼラー社等）から提案を受けていました。1942年6月に開発命令が出され同年12月には、航空機による投下実験及び陸上発射試験を完了、紆余曲折が有ったものの1944年6月に実戦配備されています。構造的には非常に単純で、方向は簡素なジャイロセンサーにて行い、高度は気圧高度計にて調整、着弾距離は機体先端部のプロペラの回転数にて調整し、それに当時のドイツ国内の亜炭層から採掘出来た粗悪なガソリンでも稼働出来たパルスジェットの組み合わせというものでした。この為、コストもライバルであったV-2ロケットより遙かに安価で約3,000～5,000RM（V-2は約75,000RM）だったと言われます。1945年3月29日までに合計約24,000発（発射失敗も含む）がロンドン・アントワープ・ブリュッセル等へ発射されましたが、戦闘機の迎撃や対空砲火・阻塞気球等（故障も含む）に阻まれ低い到達率（初期のロンドン攻撃でも最終到達率9％前後）に終わっています。

重量：2,150kg
全長：8.32m
全幅：5.37m
高さ：1.42m
弾頭：アマトールもしくはトライアレン
弾頭重量：850kg
信管：電気衝撃信管＋機械的衝撃信管（予備用）
　　　＋時限式信管（鹵獲等防止用）
エンジン：Argus As 109-014 パルスジェット（推力300kg）
航続距離：250km
最大速度 ：高度600～900ｍにて640km/h前後