第25戦闘団冬季訓練検閲(5)

仮CPから移動中、遠軽自衛隊協力会からの慰問品を
仕分けしている場面に出くわしました。氷点下でも凍ら
ないチョコレートなどが約800名分、段ボールにぎっしり
と詰まっています。
仕分けしていた隊員の話では、演習があるといつもこうして
差し入れをしてくれるとのことで、厳しい寒さにさらされて
いる隊員がどんなものを喜ぶかもよくわかっているそうです。
北海道にはこのように、地元から多大な応援や協力を受け
ている部隊が少なくありません。演習での慰問のみならず
戦技競技会での応援も熱烈で、他の部隊の協力会との
応援合戦が競技会の隠れた見どころであったりもします。
とりわけ遠軽駐屯地は遠軽町民による積極的な誘致により
設置されたという経緯もあり、地元との結びつきの強さは際
立っています。今回の検閲でも、最終日には遠軽町長自らこ
ちらへ足を運ぶ予定とのことでした。
先に進むと、圧接した雪に水を混ぜて強度を増したスノーフリート
で陣地を構築中の99式自走155mmりゅう弾砲が、仮の場所
に置かれバラクーダで覆われていました。
りゅう弾砲は上空からの同時被弾を防ぐため、各車両が50m
以上ずつ離れて配置されています。広域に展開する特科はほ
かの部隊の支援を受けずに自分たちだけで動けるよう、炊事
なども含む自己完結型であることが特徴です。
さらに進むと、雪をまとった木々の合間には96式多目的誘導
弾システム、通称MPMSが配備されていました。
MPMSは目標を直視できない地点から射撃が可能な遠戦火力
の特性を持つため、達着前の敵上陸用舟艇を撃破するとともに、
地上戦闘で敵戦車などを遠距離から撃破することができます。
FO(前進観測班)から情報を受け取ると、その標的に向かって
このような山陰から撃ちます。弾頭の先端にはカメラがついてい
て、戦車のぜい弱な部分である上部から叩きつけるのです。1度
発射すればあとはミサイルが標的の熱源を捉えてそれに向かっ
て進むので、ロックオンされると回避が難しい、戦車にとっては
何ともいやな存在です。
ほかの部隊よりも一足早く陣地構築を終えたのは、協同・訓練
部隊として参加している第2化学防護隊です。化学兵器が使用
された際に迅速に防護、除染の処置を行う除染所が設けられ
ていました。目に見えないものを相手にするため、支援する隊
員達自身も防護服に小さな穴が空いていないか等、常に気をつ
けています。
この防護服はサウナスーツさながらの発汗をもたらすので、
夏場は着用する隊員達の体の負担が非常に大きいです。しかも
防護マスクを付けると表情もわかりにくいので、小隊長や班長は
隊員の目が充血していないかを確認することで体調をチェックします。
次回は化学攻撃が行われた際の除染方法からご紹介します。
(わたなべ・ようこ)
(平成26年(2014年)12月11日配信)