第25戦闘団冬季訓練検閲(1)

2014年 3月 6日から 10日までの 4夜 5日、北海道の
上富良野演習場にて第 25戦闘団冬季訓練検閲が
実施されました。
課目は約25kmのスキー行進と、独立的に行動する
戦闘団の陣地防御の2点。C4ISR部隊実験を行って
いる第2師団がその装備を生かし、積雪で行動を制限
される中でどう戦うのかを取材しました。
記事はアルゴノート社「スピアヘッド」20号に掲載され
ましたが、そちらはいわばダイジェスト版。軍事情報
メルマガではそのノーカット版を連載でお届けします。
少々長くなりますが、西高東低の色合いが強まる一方
の自衛隊において、現在の北海道の部隊に求められて
いる役割はなにか、どのような訓練を行うことで師団・旅団
の中でもとりわけ精強と誉れ高い 2師団が練度を維持して
いるのか、その一端をご紹介できれば幸いです。
検閲の目的は、冬季における第 25戦闘団の練成成果
を評価するとともにその進歩向上を目指すというもので、
主要な検閲項目は、戦闘団長の状況判断及び指揮、
戦闘団本部の幕僚活動、部隊の基本的行動及び隊員の
基礎動作となっています。
受閲部隊の第25戦闘団は、第2師団第25普通科連隊長を
戦闘団長とし、戦闘団本部、第25普通科連隊(本部管理中
隊、普通科中隊×4、重迫撃砲中隊)、第2戦車連隊、第2特
科連隊、第2高射特科大隊、第2施設大隊、第2後方支援
連隊からなります。
ほかに協同部隊として、第2化学防護隊と第2対舟艇対戦
車中隊も練成訓練のため参加しました。
一方、統裁部は統裁官である第2師団長友部薫陸将(当時)
のもと、統裁部長、企画統制部、状況付与部、補助官部、管
理部、指導部、審判部、安全部、総務部、幕僚庶務室、統裁
通信隊、航空支援隊、医療指導班、対抗部隊などから構成さ
れています。
対抗部隊は第3普通科連隊、第2戦車連隊、第2特科連隊、
第2施設大隊で構成。受閲部隊、対抗部隊を含む統裁部
合わせて総勢1700名以上が参加しました。
検閲中の天候は毎日曇っているか雪が降っているかで、
最高気温マイナス2度、最低気温マイナス 10度という日が
続きました。太陽が顔を見せる時間はごくわずかでしたが、
体感温度を下げる強い風に見舞われることがほとんどな
かったおかげで、隊員達の肉体的負担は、多少は軽減され
たのではと思われます。
戦闘団の全般日程は、3月6日に隊容検査とスキー行進を
行い、翌日から9日までが防御準備、9日から10日にかけて
防御戦闘、状況終了後に陣地研修と撤収となっています。
想定としては、第2師団には「112MRおよび113MRを撃破
して道央地区を回復する」という任務が、師団から先遣され
6日間独立的に行動する先遣戦闘団である25戦闘団には、
「侵攻する敵を上富良野 1帯以南に阻止して第 2師団主力
の富良野盆地進出を掩護する」という任務が与えられています。
つまり防御ラインを設定してそこで敵を足止めし、 2師団の
作戦準備が終わるまでの時間稼ぎをするわけです。そのため
に下される指揮官の命令は適時的確か、隊員たちはその命令
をしっかり実行できているかといった部分が検閲のチェック事項と
なります。
一方、対抗部隊の112MR、113MRの想定は「上川盆地で2師
団を撃破して道北地区を占領」というもの。敵役が本気を出さない
と状況は白けるばかりで、内容の濃い検閲にはならないというか
ら、彼らの仕事ぶり如何で訓練検閲の中身も大きく変わります。
なお、訓練検閲で使用された主要装備品は89式小銃、MINIMI、
120mm迫撃砲RT、99式自走155mmりゅう弾砲、90式戦車、
96式装輪装甲車、軽装甲機動車、MPMS、01ATM、87ATM、
短SAMとなっています。
次号は第2師団の特性についてご紹介します。
(わたなべ・ようこ)
(平成26年(2014年)11月13日配信)