警戒航空隊(6)

先週までは浜松基地の第602飛行隊が運用する
早期警戒管制機E-767、通称AWACSについて
ご紹介してきました。
今週は第601・603飛行隊が運用する早期警戒機、
E-2Cについてご案内します。
那覇に第603飛行隊がまだ新編されていなかった頃、
三沢にいる部隊が大変なのは、任務が付与されたら
すぐさま機動展開をしなければならなかった点です。
AWACSは機動展開せず浜松から前方に移動するの
が基本ですが、E-2Cは滞空時間が長くないので、
必要な場所に一番近いところに展開させ、そこから
使います。ここ数年は、三沢が拠点でありながら那覇
に展開しっぱなしという、クルーにとっても整備員に
とっても苦しい運用が続いていました。
けれど実質的には三沢の部隊をふたつに分ける形
で部隊が新編されたおかげで、E-2Cの運用は、少し
はましになったことでしょう。とはいえ任務付与即機動
展開というE-2Cならではの特性は変わりません。
ここで航空自衛隊HPに掲載されているE-2Cの紹介文を引用します。
===ここから===
E-2C
航空作戦を効果的に遂行する使命を担った早期警戒機です
E-2C早期警戒機の役割は多岐にわたります。低空侵入機の
早期発見、そしてその対処の迅速化、陸・海部隊との作戦連携、
捜索・救難・指揮の円滑化、陸上レーダーサイト機能の代替、
通信の中継など、航空作戦を効果的に遂行する使命を担って
います。昭和62年から実戦配備され、現在13機が運用されて
います。また米海軍が配備しているE-2Cグループ2の性能向上
型であるホークアイ2000と同等機能にアップグレートされた
改修型機は、平成17年から部隊配備されています。
===ここまで===
補足すると、実戦配備されたのは昭和62(1987)年となってい
ますが、調達を開始したのは1979年(ミグ25事件の3年後です
ね)。米海軍が開発し部隊配備したのは1964年と、なんと半世
紀も前に誕生した機種なのです。もちろんエンジンやレーダー
などの電子機器は順次改良され、2005年からアップグレード機
が部隊配備されているものの、まだすべてではありません(連載
第1回でも書きましたが、2018年度までに後継機を4機導入予定
となっています)。必然的に機体の維持管理も非常に大変で、
整備を担当する第1整備群にかかるプレッシャーは相当なものです。
同じ警戒航空隊に所蔵しながら、AWACSは世界唯一の他国が
うらやむ早期警戒管制機。一方、E-2Cは老朽化と戦いながら運
用を続ける早期警戒機。
隊員たちの士気に影響が出ないか気になったのですが、三沢基
地の飛行警戒監視隊(現在の第601飛行隊)を訪れたとき、その
士気の高さに驚かされました。自分たちは迅速に機動展開して
任務をこなせる実力があるという自信をもって任務に当たっていました。
次回はE-2Cのクルーについてご紹介します。
(わたなべ・ようこ)
(平成26年(西暦2014年 皇紀2674年)10月23日配信)