潜水医学実験隊(その6)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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潜水医学実験隊(6)

 

最初に、前回の「DDCでは声もヘリウムガスを
吸ったときのように甲高くなる」という一文の
訂正をいたします。DDCでの加圧にはヘリオックス
というヘリウムと酸素の混合ガスが用いられる
ため、「ヘリウムガスを吸ったときのように」ではなく、
実際に吸っているわけですね。紛らわしい記述で
失礼いたしました。

 

さて、私の取材時はまだ飽和潜水による最高深度
は400mでしたが、司令は「450mに到達する日は
違い」と力強く言っていました。そして実際、2008年
5月に450m潜水に成功しました。これは世界第2位
の記録です。

 

飽和潜水の深度自体もすごいことですが、その深度
を継続しているということは世界でもほとんど類を
見ません。多くの国は飽和潜水の研究から手を
引いたり一時的に中断したりしましたが(アメリカですら
撤退しています)、日本はずっと継続して研究を
続けてきた結果、世界のトップクラスの技術を保有
するまでにいたったのです。

 

深海という極限の環境での作業はリスクを伴うため、
作業ロボットの研究も進んではいますが、人間の
作業する技術に追いつくにはまだ時間がかかります。
特に潜水艦の救難などは、最終的に人間の手に
よるところが大きいといわれています。というのも、
潜水艦というのは当たり前ですが沈まないように
設計されています。それなのに沈むときというのは
不測の事態、想定していないことが起きているわけです。
そうなるとどうしてもロボットでの対応には限界があり、
人間による作業が必要とされるのです。

 

 

2000年8月、ロシアの潜水艦クルスクがバレンツ海
で演習中、魚雷発射管室で爆発が起こり沈没、
乗員118名全員が死亡するという事故を覚えて
いらっしゃる方も多いでしょう。

 

ロシアの救難艇の装備では、爆発により変形して
しまった潜水艦のハッチを開けることができません
でした。このことから、ロシア海軍では飽和潜水が
行われていない、または実際の事故に対応できる
スキルを持つ飽和潜水員がいないということが推測
できます。

 

しかも最初、ロシアが他国の協力を拒否したことも
あり、救出作業は遅れました。最終的に事故発生
から9日後に、ノルウェーの飽和潜水員が潜水艦の
ハッチを開けることに成功します。しかし時すでに
遅く、艦内は完全に海水で満たされていました。

 

潜水艦は爆発により通信機能も失っていたので
救助の初動が遅れたという側面はありますが、
もっと早い段階から飽和潜水員による作業が
行われていたら、爆発直後には20名以上いた
という生存者を救出できる可能性があったかも
しれません。生き残った彼らは、真っ暗闇の艦内で、
増え続ける海水と二酸化炭素に苦しみながら
命を終えなければなりませんでした。

 

潜水艦の事故は悲惨です。だからこそ、潜水艦
救難艦と飽和潜水員の存在は、潜水艦の
隊員たちにとって大きな心の支えとなるのです。

 

 

何年も前に取材した潜水医学実験隊ですが、
今回このメルマガの記事を書くにあたり改めて
調べものなどしていたところ、海自の公式動画に
懐かしい顔を見つけました。

 

飽和潜水員として取材させてもらったときは
2曹だった隊員が、現在は先任伍長&潜水員長
として潜水救難母艦ちよだにいることを知ったのです。
動画の中で「休日に登山をしても高山病になった
ことは一度もない。空気の薄いところに慣れて
いるせいかも」と笑って話しているシーンが印象的
でした。飽和潜水についても語っていらっしゃるので、
興味のある方はご覧になってみてください。

 

【JMC】ヒューマンCH Seaman File No.4 潜水員 2/3
https://www.youtube.com/watch?v=jnOo2G8n5qo
【JMC】ヒューマンCH Seaman File No.4 潜水員 3/3
https://www.youtube.com/watch?v=Jp9D14-irXA

 

こちらは実際に飽和潜水をしている動画です。非常に
参考になります。
【Mr. JMSDF SPECIAL MOVIE】
深度100mの未知の世界へ 〜 高度な潜水技術を追求せよ!
http://youtu.be/VH3WDRDnVUM?list=PLhD6Y9WpnWDOCaRXmUGCIplRnmZhlx_c6

 

潜水医学実験隊の連載は今回で終了です。
自衛隊には国民の目に触れる機会のないこのような
部隊がたくさんあり、そういった部隊が精強な自衛隊の
土台となっています。これからも少しずつそんな部隊を
ご紹介できればと思っています。

 

最後に、今年5月と6月に訓練水槽で亡くなった
潜水医学実験隊の2尉と海曹長に哀悼の意を表します。

 

(わたなべ・ようこ)

 

 (平成26年(2014年)8月14日配信)

 





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