海上自衛隊幹部候補生学校(14)

ごあいさつ

こんばんは。渡邉陽子です。
幼少時から耳鳴りは当たり前の症状だったのですが、この1年「在宅」「ひとり」という環境が例年より長かったせいか、初めて耳鳴りを「うるさいな」と思うようになりました。これを書いている今も、もちろん鳴っています。あまりにうるさいので検索してみたら、いろいろな対処があることを初めて知りました。治るとか緩和するとかも思っていなかったので、検索すらしたことがなかったのです。人と話しているときがいちばん聴こえないので、緊急事態宣言も解除されたことですし、人と会話する機会が増えるといいなと思っています。

海上自衛隊幹部候補生学校(14)

5名の候補生たちへの質問、続きです。
<回答者のプロフィール>
Kさん(男性) 防大卒 潜水艦・艦艇希望 23歳
Oさん(女性) 防大卒 航空装備・研究科希望 23歳
Fさん(女性) 一般大学大学院卒 航空(戦術航空士)希望 25歳
Hさん(男性) 一般大学卒 航空装備希望 28歳
Iさん(男性) 一般大学卒 潜水艦希望 25歳
Q3 現在受けている教育の感想は?

Hさん 
部内出身だからこそ思うのかもしれませんが、ここでは筆記試験がとても多いんです。実際に艦に乗っているときは、試験のために覚えたことがダイレクトに役立つとは限らないので、ちょっと意外でした。意味あってこういうカリキュラムになっているんでしょうが、もっと術科に重点が置かれているのかと思っていました。

※この発言の後、ぽつりと「もっと術科に重点を置いたカリキュラムだったら、僕らが卒業した後、だいぶ楽なんじゃないかな……」と。年長者のベテラン海曹と新米の3尉では、知識も経験も海曹にはかないません。幹部自衛官なら誰もが通る道とはいえ、なかなかつらいものがありますよね。とはいえHさんは部内出身なので、今回の回答者の中で唯一現場を知る人。そのHさんだからこそ、幹候での教育と現場とのギャップを感じることができたのでしょう。

Iさん 確かに江田島に来る前は、艦上で学んだり経験して体で覚えたりするといったことを想像していたのですが、実際は試験が多く、艦と直結していないような試験もあります。学ぶ内容については、入校前のイメージと随分違いました。
Kさん 防大時代は勉強というと大学の勉強と同じ色合いもあったし、私は文系だったせいかよりその傾向が顕著だったかもしれません。それが江田島に来てみると暗記ものが多く、「今はこの部分は理解するというよりもとにかく暗記しろ」という指導を受けることもあります。それが勉強というイメージとうまく結びつかずにとまどうこともありましたね。
Oさん 防大時代にも思ったのですが、海上は陸や空に比べて覚えることが多くて大変だなと。航空だと3枚程度のテストが、海上だと10枚もあって「ええっ!?」と(笑)。試験時間も海上だけずば抜けて長かったんですよ。ただ航空については、専門的すぎるので防大では広く学ぶということが難しいという理由もあるらしいですね。
Fさん 私の場合は特に疑問を感じず、組まれたカリキュラムをしっかりやっていれば必要なことが身に付くのかなと思って、とりあえずいい成績を取ろうと頑張ってきました。ちょっと不満なのは、防大出身の1課程と一般大出身の2課程では、専門科目と英語の比率が違うことです。防大出身の1課程では4年間勉強をしてきたというのがありますが、私のいる2課程は、ここでの1年で防大出身に追いつかないといけないので、結果として英語の時間が少ないんです。英語ももっと勉強したいですね


教場で学んだことが現場で役立つとは限らないというのは、海自に限らず陸や海、そして一般企業においてもあることですね。少し意外だったのが、「とにかく暗記しろ」という指導。覚えなければいけないことが山のようにあるからこそ、暗記する根拠や他項目とのつながりなどを教えることが大切だと思うのですが……ただただ暗記しただけのことって、忘れやすい気がするのです。個人的見解でした。
質問は次週も続きます!
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
(令和三年(西暦2021年)3月25日配信)