海上自衛隊幹部候補生学校(9)

ごあいさつ

こんばんは。渡邉陽子です。
銀河英雄伝説全15巻、ついに読み終えてしまいました。早く読みたくて、けれど読み進めてしまうのがもったいなくて、読むのは移動中のみというルールまで設けて去年から引っ張ってきましたが、ついに終わってしまいました。もう一度1巻から読み直すか、あるいは久しぶりにトム・クランシーに戻るか思案中です。

海上自衛隊幹部候補生学校(9)

一般幹部候補生の1日、今週は正午から就寝までを追います。
1140
昼食
起床時から全身全霊全力で過ごしているので、お待ちかねの昼食でエネルギー補給。毎週金曜日は帝国海軍時代からの伝統でカレーと決まっています。セルフサービスなのでこれでもかというくらいてんこ盛りにしたいところですが、悲しいことに食事にかけられる時間はどんなに長くても10分がいいところ。メガ盛りにしたいところを大盛りで我慢する候補生もいれば、付け合わせのスライスチーズをカレーにトッピングしてオリジナリティを追求する候補生も。
<おまけ:この日の昼食>
海軍カレー
海老の鹿の子揚げ
グリーンサラダ
スライスチーズ
つけもの2種
フルーツポンチ&ナタデココ
牛乳
計1430kcal 360円
1240~1600
教務
午後の教務は睡魔との闘い。けれど、さすが未来の幹部自衛官。ペーパーテストもひっきりなしに行なわれるので、しっかり学ばないと後で困ることになります。それにこの講堂にいる間は、恐ろしい「しつけ教育」担当の教官たちの目に触れることがない貴重なひととき。だから元気! 居眠りなんてしたらもったいない!
1615~1730
別課
日によって行なわれる内容は異なります。この日は3000mのタイム計測日。制服から運動着に着替えた候補生たちは、準備運動と軽いランニングの後、気合満点にスタート。この日のトップは9分43秒でした。
薄暗くなっていくなか、1700に国旗掲揚。ここで「今日もよく頑張った」と一息つきたいところですが、候補生たちの多忙な1日はまだまだ終わりません。
1730~1900
入浴、夕食
入浴と夕食は順不同ですが、着替えの都合上、入浴を先に済ませる候補生のほうが多いようです。制服に着替えて夕食を取りますが、朝・昼同様、平均5分で食べ終えます。当然ながら隣同士で談笑しながら食事などという光景はありえず、食堂には食器の触れる音のみが響き、話し声はありません。入浴と夕食で90分あるからと、「余裕がある」と思うのは勘違い。候補生たちがこなすべき雑務は果てしなく多いのです。
<おまけ:この日の夕食>
きざみキャベツ
白身魚フライ
ナムル
八宝菜
蓮根豆板醤炒め
大根スープ
ご飯
牛乳
計1169kcal 330円
1900
甲板掃除
制服から再びジャージに着替え、居住エリアの甲板掃除。せっかくお風呂に入ったのに、床に這いつくばるようにして掃除とは、なかなかつらいものがあります。特に夏は入浴したこと自体が無効になってしまいそうで気の毒。掃除に不備があった場合は教官から強く厳しく指導される原因となるので、どの候補生も真剣に掃除を行ないます。
1930~2145
自習、巡検
分隊ごとに自習室に集まり連絡事項などを伝達している間に、巡検が行なわれます。週番学生と教官が各部屋を回り、清掃状況や整頓状況をチェックするのです。ここで教官から「ロッカー内の整頓ができてない」「毛布の折り目がきれいじゃない」など判断されると、ベッドのシーツははがされロッカー内の荷物は床にぶちまけられ(ベッドマットが窓の外に放り出されたという話もあります)、台風一過の状態に。自習時間はデスクワークが中心ですが、手旗信号や発光信号の試験前は、廊下で練習する候補生も多いです。
2200
消灯
正規の消灯時間には誰も寝ません。あらかじめ申請しておけば23時45分まで消灯を延長できるので、この時間には心身ともに相当疲労しているはずですが、予習復習テスト勉強レポート作成と、延長時間ぎりぎりまで勉強します。候補生たちの「毎日全力」はこうして深夜まで続くのです。
おまけ:行動によって身に付ける服が細かく決められている候補生たち。就寝時の男子候補生は全員「白いシャツと白いパンツ」です。女子はジャージOK。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
(令和三年(西暦2021年)2月11日配信)