ゆうべつ最後の観艦式(3)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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ゆうべつ最後の観艦式(3)

「ゆうべつ」艦長の話は続きます。

「現在の乗員たちは万全の体制、自信を持って観艦式に臨める練度だと確信しています。観艦式に初めて参加する乗員は、お客様に自衛隊を見ていただくという目的もさることながら、“自分たちはこれだけすごいことをやっているんだ”という自信を持ち、かつ楽しみながら参加してほしいですね。一方、すでに観艦式を経験している乗員には、どうすればお客様によりよいものを見ていただけるのか、われわれのアピールができるのかをよく考えて臨んでほしいと思っています」

 

出航時、緊張感の漂う艦橋に足を運んでみます。
艦長はじめ航海長、測距担当の航海科員、針路をチェックするジャイロレピーター、通信士、速力指示員、操舵員、レーダーを担当する船務科員などが、決して広いとはいえない艦橋に詰めています。
さらに、その背後に写真や動画を撮らんとやるき満々の招待客たちがひしめいているのですから、大変な混雑ぶりです。
しかし出航時の緊張感はギャラリーにも伝わり、大声を上げたり任務に集中している隊員に話しかけたりする人はいません。隊員たちの真剣な背中を、息をつめて見守っているという感じです。

 

ゆっくりと岸壁を離れた「ゆうべつ」は東京湾を進んで行きます。これから浦賀水道を経て観艦式会場である相模湾へ向かうのです。
無駄口は一切ありませんが、静かなわけではありません。艦橋にはひっきりなしに航海長や操舵員、速力指示員などの声が飛び交っています。
「両舷前進1戦速黒10」
航海長の発した暗号のような号令は、速力の指示です。これを速力指示員が艦橋下に位置している機関室に伝達し、機関室がスロットルレバーで指示された速力になるようエンジンを動かします。
この速力指示や針路の指示が、ほとんど途切れることがありません。一見、海上をスイスイとたやすく進んでいるように見える「ゆうべつ」ですが、周囲の漁船に注意しつつ前方を進む「ゆうばり」と列を乱さず一定距離を保つには、これだけひっきりなしに指示を飛ばす必要があるのです。

 

艦橋後部では、艦内放送を担当する隊員がタイミングを見計らってアナウンスを行なっています。
「まもなく左に曲がります」「まもなく速度を上げます」といった業務的なものだけでなく、「右手の小高い丘の上に建つ建物は防衛大学校です」などガイド的なアナウンスもあり、サービス精神も旺盛です。

 

艦橋が再び出航時のような緊張感に包まれてきたと思うと、「まもなく浦賀水道に入ります」というアナウンスが流れました。
東京湾の銀座とも呼ばれる浦賀水道は、1日に700隻もの船舶が通る海の難所。交通量が多いため、この海域では右側通行、時速12ノット(約20キロ)に制限されます。艦橋から見える海上には右を見ても左を見ても大小の船が航行していて、さながら海の渋滞状態です。

「レーダーは少し遅れるから鵜呑みにしないほうがいい。かならず自分の目でも確認するように」

ベテランの船務長が若い海士に助言している横では、艦長が「あの漁船、どこに行くのか無線で聞いたほうがいいな」と船務士に指示しています。センターラインもない海の道を安全に進むため、いくつもの目と何重ものチェックが行なわれているのです。

 

 

 

 

 

(以下次号)

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(令和二年(西暦2020年)7月9日配信)

 





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