神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(14)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(14)

東日本大震災の災害派遣とそれまでの国内で発生した天災における災害派遣との決定的な違いは、地震と津波という大災害への対応だけでなく、福島第一原子力発電所の事故という複合事態による二正面作戦だった点にある。
しかも原発対応は計画で定められた自衛隊の任務を超えた活動であり、必然的になにもかもが手探り状態の過酷な任務となった。陸上幕僚長である火箱も、否応なくその渦中に身を投じることとなった。

 

3月11〜13日
3月11日19時30分、自衛隊に原子力災害派遣命令が発令された。任務は原発周辺地域の避難者などの輸送支援や給食・給水支援などで、通常の災害出動とさほど変わりない。
このとき、原子力災害対策本部から入ってくる情報は「交流電源喪失、非常用ディーゼルエンジン停止。ただし、心配なし」という程度のものばかりだったから、火箱は「そうか、心配ないんだな」とほとんど気にもとめなかった。
20時に郡山の部隊に「原発に自衛隊の電源車の運搬依頼がありました」という報告があったときも「ヘリで運べるか、電源車の重さを確認しろよ」と言った程度で、火箱の頭は地震・津波による被災者の救助に集中していた。ひとりでも多くの人を助けるために、発災後の72時間はまさに時間との戦いだったからだ。
それにこの日は政府から、防衛省・自衛隊への原発関連の要請はなく、現地の部隊への依頼だけだったから、福島第一原発が深刻な状況に陥りつつあるとはまったく思っていなかった。

 

3月12日、東電から郡山の部隊に再び要請があった。今度は冷却水を注入して欲しいという。どのくらい必要か聞くと、5トンの放水車1台でいいらしい。そのボリュームならば現地の部隊だけで対応できるので、火箱は「現地で要請に応えてくれ」と返した。それが朝9時のことだ。
15時36分、「1号機が爆発した」「東電の社員が負傷した」という情報が入ってきた。テレビでは枝野幸男官房長官(当時)が「爆発的事象」という妙な日本語を発していた。
この爆発が水素爆発だったと知るのは後のことで、これは枝野官房長官の嘘、ごまかしだった。
この時点では、火箱はもちろん、自衛隊は「原発は政府と東電でなんとかなるだろう」と思っていた。実は負傷した東電社員のそばに隊員もいて、負傷した東電社員の搬送を手伝っていたのだが、火箱にはその報告を受けた記憶がない。しかも、政府も東電もパニックを招いてはいけないという危惧があったのか、差し迫った情報は防衛省には入ってこないし真意も伝わってこない。火箱が今ひとつ原発への危機感を抱けなかったのには、こうした背景があった。
ただ、オフサイトセンターから福島の部隊への輸送要請が多いことが気になっていた。そこで13日8時、輸送力強化のため、統合幕僚監部は中央特殊武器防護隊と東北方面隊の輸送隊を郡山に派遣する指示を出した。

 

13日には陸海空自衛隊の一元的な統合運用のため「災統合任務部隊」(JTF東北)が編成されることになり、14日に北澤俊美防衛大臣と折木良一統幕長が仙台で君塚栄治東北総監に統合任務部隊指官の辞令を交付することになった。

 

 

 

(つづく)

 

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(令和三年(西暦2021年)8月5日配信)

 



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