航空自衛隊 警戒航空隊(5)

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オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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航空自衛隊 警戒航空隊(5)

AWACSには早期警戒管制機という名称があります。一方、今年1月から三沢基地に配備されたE−2Cの後継機であるE−2Dは早期警戒機といい、「管制」の文字が含まれていません。
E−2Dは空中で相手を早期に発見するための航空機であり、「空飛ぶレーダーサイト」と言われています。一方、AWACSも早期警戒機であることは同じですが、管制機能を持っていることに大きな特徴があります。つまり「空飛ぶDC」とも言えるわけです。
DCとは全国に4か所置かれている防空指揮所(DC)のことで、上空の警戒監視だけでなく、戦闘機などをスクランブルさせた際には戦闘機の誘導や必要な処置を行なっています。空港の管制塔で航空機の誘導などを行なうのが航空管制、DCで戦闘機の誘導を行なうのは要撃管制。要撃管制はレーダーサイトやE−2Dではできません。ここが2つの機種の大きな違いです。
防衛白書の「島嶼部における攻撃への対応」には、島嶼防衛のイメージ図が掲載されています(平成30年版ではP320)。そこに描かれたAWACSを見ると、戦闘機(や艦艇)と情報を共有し、指揮している構図がよくわかります。AWACSの運用が始まって間もない頃は「AWACSは統合運用の象徴」という言葉がよく使われていたのも納得です。

 

とある訓練の朝。
午前7時、約30名が集まった一室でブリーフィングが始まりました。衛星写真や天気図を用いての気象報告やAWACSの整備状況、そして本日の飛行計画などが、それぞれの担当者から説明されていきます。
外へ出てみると、ちょうどAWACSがエプロンに運ばれてくるところでした。これから給油やPRと呼ばれる飛行前点検が約1時間かけて行なわれます。機体が大きいので、作業している隊員たちがやけに小さく感じます。
整備が終わるころ、AWACSに搭乗するミッションクルーが整然とやってきました。こういう何気ない動きがきっちり決まっているのは、さすが自衛官です。
その中でひとり、重そうな荷物を抱えてタラップを上がっていく隊員がいます。なにを持っているのかと思いきや、准曹士先任が「AWACSの一番後ろには民間機と同じギャレーがあって、フライトが長いときはそこで食事を解凍したりします。彼が持っていったのはコーヒーですね」と教えてくれました。

 

ほかの部隊、ほかの機種ではなしえない、AWACSだからこそ担う任務・役割は、隊員の士気につながるものかもしれません。その一方で、長いフライトはクルーに負担を強いるものであり、どんなミスも許されない厳しい環境下に長時間置かれていることを意味しています。しかも上空を長時間監視するというのは、集中力を維持することが難しい単調な作業なのではないでしょうか。しかし、実際には一度として同じ日などないわけです。
取材時、警戒航空隊員としての誇りをどんなときに感じるかという話になったとき、隊員のひとりが「先輩から聞いた言葉ですが」と教えてくれました。
「2002年の日韓ワールドカップ開催時、AWACSは警戒のために日本の上空を常時飛んでいた。青色のユニフォームを着たサポーターたちはそれを知らない。我々は人に知られることはなく、寡黙に上空を警戒して回っている。それが誇りだ」。
今年のラグビーワールドカップでも、来年の東京オリンピックでも、もちろんAWACSは国民に知られることなく警戒監視のために飛んでいることでしょう。

 

ミッションクルーの搭乗から10分ほど後にパイロットも到着し、機体の点検を行なってからAWACSに乗り込みました。
それからまもなくして離陸したAWACSは美しいラインで上昇を続け、やがて取材陣の視界から消えていきました。空飛ぶDCは、今日も人知れず上空で監視の目を四方八方に光らせています。

 

 

 

(おわり)

 

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(令和元年(西暦2019年)6月20日配信)

 





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