第2師団集合教育「レンジャー」(6)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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第2師団集合教育「レンジャー」(5)

道路に倒れ込んでしまった学生をバディが起こそうとしているのですが、そのバディも思うように力が入りません。
「ほら、立って行こう。みんなつらいんだぞ、お前だけじゃないんだぞ」
相方の腕を引っ張るも、完全に脱力してしまった人間を起き上がらせるのは力がいります。なんとか上半身を起こさせても、再びぐにゃりと地面に伏せてしまいます。
周囲には助教も集まり「こんなところでごねててもしょうがねえぞ」「しっかり立て」「くすぐるぞ」などと叱咤しています。

 

教官、助教の忍耐強さも相当なものです。学生を心身ともに極限まで追い詰めながら、決して見捨てません。
「背嚢重いだろ? 下ろしていいぞ。で、すぐ帰れ。お前にはもう無理だ」と口では言うものの、実際に指導部側から「クビ」を言い渡したりはしません。ドクターストップがかかるとか、メンタルにきてしまうとか、あるいは冷静かつ客観的に学生自身が判断しない限り、つまり「心身ともにきつい状況下での弱音発言」はスルーします。レンジャー教育は教官、助教の忍耐力を試される場でもあるのです。

 

助教から「水を10杯飲め」と指示が出ました。学生たちは水筒のキャップに水を入れ、1杯ずつゆっくり味わっています(1杯せいぜい10cc程度です)。
さあ、最終想定の状況終了まで残り約24時間(学生たちはそこまで詳しく知らされていません)。ここを乗り切れば明日は帰還式、名寄駐屯地に戻ってきたら、そこには家族や仲間、そしてレンジャー徽章が待っています。

 

そして最終日の4日目。
3夜4日にわたりほぼ不眠不休で任務を遂行していたレンジャー学生が、ついに名寄駐屯地に戻ってきました。
お約束の発煙筒と爆竹、そしてロッキーのテーマが鳴り響き、家族や部隊の仲間、同行していない教官・助教たちが出迎えます。
今回は学生27名に対して家族が100名ほど出席。はるばる遠方からかけつけた家族もいるなど、レンジャー教育は本人のみならず家族にとっても大きな出来事なのです。

 

学生長が任務終了報告をし、担任官が状況終了を宣言。これをもってついに約3カ月におよぶレンジャー教育が終わり、学生たち一人ひとりのレンジャー徽章が授与されました。
学生長は「われわれ学生は3か月前より少しは成長できたかと思います。多大なご支援ありがとうございました。感謝の気持ちを忘れず、今後はレンジャー隊員として自衛隊生活を送っていきたいと思います」とあいさつ。つい先ほどまで厳しかった教官や助教も笑顔で見守っています。子どもの顔を見て思わず涙する学生(レンジャー教育中に子どもが生まれた学生もいました)、久しぶりに彼女と会えて破顔する学生、部隊の仲間から盛大に祝福されあれやこれや食べ物を差し出される学生。教官や助教は「最後まで頑張ったな」「お前は本当によくやった」と、教育期間中一度たりとも口にすることがなかった言葉を学生たちにかけています。

 

それだけでも学生にとっては胸の熱くなることですが、この先にまだサプライズがあります。
寝泊まりしていた部屋に戻ると、そこにはあの教育期間中は鬼のようだった助教が縫い付けてくれたレンジャー徽章が胸元に輝く戦闘服がハンガーにかけられ、自分のベッドにぶら下がっているのです。
「あーっ!」「バッジついてる!」「やばい、うれしすぎる」。
学生たちの顔が輝き、年相応の素直な声があちこちから響きます。彼らはこれからまず4日ぶりの風呂に入り全身の汚れを落とし、このレンジャー徽章の付いた清潔な戦闘服に着替え、そして家族との会食へ向かうのです。
こうして今年度、2師団では27名のレンジャー隊員が誕生しました。今後はレンジャー隊員ならではの任務を遂行し、上司に信頼され部下に尊敬される、レンジャー徽章に恥じない自衛官であり続けてもらいたいものです。

 

 

 

(おわり)

 

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(平成31年(西暦2019年)2月21日配信)

 





渡邉陽子さんのデビュー作

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