第2師団集合教育「レンジャー」(5)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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第2師団集合教育「レンジャー」(5)

ところで、結果的にほかの学生たちに迷惑をかけることになってしまった学生は、レンジャー徽章を手にしたときに胸を張れるのだろうかという問いに、広報室長の3佐は「どの学生にも課題は残ります。自分の弱さを知ることがレンジャー教育でもあるので、そういう面が出てもいいんです。自分に足りないところを知ることが重要ですから。この経験を生かし、今後の自衛隊勤務で成長していけばいいんです。部隊に貢献するとか、助教となってレンジャー隊員の育成に尽力するとか、道はいろいろあります」と話してくれました。ちなみにこの3佐は幹部レンジャー(陸曹レンジャーも!)、冬季遊撃、スキー(上級指導官)の徽章を持つ強者。現在、水陸機動団で任務に就いている後輩や教え子も少なくありません。

 

これから学生たちは破壊を命じられた橋の偵察を行ない、橋梁爆破のための準備を進めます。
戦闘隊長に指示された学生は、警戒員として道路に配置したり、爆破薬の準備をしたりとそれぞれの任務をこなしていきます。
基本計画とすり合わせて修正した後に爆破、戦闘隊長が成果を確認してから現地を離脱しました。よろよろの学生は相変わらずよろよろのままです。駐屯地に戻れるのは2日後、それまでほぼ不眠不休になるというのに、大丈夫なのでしょうか。

 

3日目は早朝に名寄演習場内で敵の車両部隊を伏撃しました。
2回目の偵察を終了後、戦闘隊長が帰来報告に基づいて計画を修正しています。この後命令下達し戦闘指導、そして時間があれば戦闘予行を行ないます。
伏撃地点の周辺に身を潜めている学生たちは、自分の任務に応じて弾を準備したり火器を点検したり、あるいは対戦車地雷を設置する準備などを行なっています。
やはり元気の残っている人間が動く任務に就いているようです。周囲の警戒に当たっている学生はじっと座っているだけで眠ってしまいそうになり(無理もないのですが)、それが見つかるとすぐさま助教からの厳しい指導が入ります。

 

いよいよ敵車両が近づいてくると、先頭車両はあえて通過させ2両目を攻撃。このときばかりはふらふらだった学生もしっかりした足取りで自分の役割を果たしていました。むしろこうして動いているほうが覚醒するのでしょう。
離脱後は山中にある敵通信所を破壊するという状況が付与されているのですが、初日からろくに眠らず食べずで学生たちの気力体力は限界に近づいて来ています。とりわけ絶え間なく襲ってくる猛烈な眠気が、学生の思考能力を奪っていきます。立ち止まれば本人の意思とは関係なく自然にまぶたが落ちてしまい、助教の「寝るな!」「起きろ!」の声がひっきりなしに響きます。
ある助教は地図を示しながら寝落ちしそうな学生に忍耐強く言い聞かせています。
「寝るな、地図見ろ。わかるか、お前らここを入っていったんだぞ。ということは、これからどこに行かなきゃいけないんだ?」
「えーと……ここに……」
「寝るな、そうだろ? だったらそこまで行くのにどうしなきゃいけないんだ? 地図から読み取れることがあるだろ? 見てみろほら、ここに崖があるだろ。ってことは低い場所なんだから、そこから畑が見えるはずだろ。つまり畑を左側に見て降りていけば目的地にたどり着けるってことがわかるだろ?」
「レンジャー」
「寝るな」
このやりとりだけなら絶妙なボケと突っ込みにも聞こえ、ともすると思わず笑いそうになります。しかし異臭を放ち不眠不休で最終想定に臨んでいる学生と、その学生相手に飴と鞭を絶妙に使い分けつつ常に100%全力で向かい合っている教官・助教の間には、慣れ合いも笑顔もありません。常に真剣勝負です。

 

 

(以下次号)

 

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(平成31年(西暦2019年)2月14日配信)

 





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