戦車射撃競技会(2)

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知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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戦車射撃競技会(2)

今回は戦車射撃競技会における射撃の実施要領を紹介します。
射撃は戦車4両からなる1コ小隊で編成されます。2両ずつA班、B班で構成され、戦闘射撃をしながら最終的に敵を撃破するという流れになっています。戦車砲の射距離は1600〜2500m、機関銃は300〜500mです。
状況は第1状況、第2状況があり、2コ状況に分けて射撃を実施します。

 

A班が稜線に上がり、B班が前進の態勢を取ると第1状況開始です。
B班の前進を援護するためにA班がその稜線に入って援護態勢を取っている間に敵、つまり標的が現れます。そこでA班は稜線に停止した状態で射撃、B班は前進しつつ射撃を行なう行進間射撃を実施します。
なお、砲塔内に弾を込めて射撃準備する際は、無線で「射撃用意」と声がかかります。A班とB班のどちらが先に撃つかは、そのときの状況次第で固定ではありません。
B班が躍進を終わった段階で、今度はA班がB班の援護態勢のもと前進します。そしてB班が停止射撃、A班は横行行進射を実施。4両が同じ車線に並んだら、同時に目標方向に向かって前進します。その間に戦車砲用標的と機関銃用標的が同時もしくは時間差で出てくるので、小隊は前進しながら射撃をします。ここで第1状況が終了となります。

 

第2状況に移行する時、戦車砲の弾種を切り替えます。その際、第1状況で使った弾種が戦車の中に残っていては弾種変更ができないので、打ち切り射撃を実施します(これは成績には関係ありません)。

 

第2状況は第1状況の行進間射撃と違って走行、停車、射撃、発進という動作の躍進射撃となり、一定の位置まで進んだところで状況終了となります。なお、射撃を優先する標的の順番は戦車、装甲車、歩兵の順となっています。

 

成績は得点で示され、戦車砲射撃が840点、機関銃射撃が160点の合計1000点満点から減点される形となります。射撃時間の3分30秒をオーバーすると1秒ごとに減点されていきます。
また審判点というものもあり、違反行為のほか、「撃ち方待て」「撃ち方やめ」の号令をかけた後に間違って弾が出てしまった場合は、その状況が0点になってしまいます。これは痛恨の減点ですね。

 

一切の減点がなければ1000点満点で優勝なのですが、これがなかなか難しいのです。
戦車は弾が敵に命中することでその威力を発揮しますが、ベテランの戦車乗りによれば、正確な射撃は計算と訓練だけでは十分とはいえず、「諸元に出てこない、勘に頼る部分もある」といいます。
そしてその勘は経験値が上がるほど研ぎ澄まされ、撃った瞬間は煙でほとんど見えなくても、「すっと抜けていくのが見えるようになれば当てられるようになる」とか。そのためには目を養うことも不可欠だそうです。

 

本番までには射場で訓練する時間も設けられており、どの部隊も均等に機会が与えられるよう、射場の割り当てが決まっています。
射撃は午前7時から行なえるので、当然ながらそれまでの時間の射場はフリーとなっています。
そこで小隊によっては与えられた割り当て時間以外のこの時間を利用して、弾は使わず動きの確認などを行ないます。夜明けから7時までの限られた時間ゆえ、自分達が終わると次の小隊の番といった具合に並んで順番を待つのです。

 

大変な話ですが、実は北部方面隊隷下の全戦車部隊がこの競技会に参加できているわけではありません。
1コ中隊は基本的に3コ小隊からなりますが、そのうち出られるのは2コ小隊のみ。
隊員にとって自分や部隊の技量を試すことのできる場である競技会は、やはり出たいもの。しかし参加できず支援に回った隊員も毎年いるわけです。それを思えば、よりよい結果を出すために早朝から射場に赴いて順番待ちをするくらい、苦労のうちに入らないと言えるかもしれません。
この人選について、中隊長のひとりは「小隊長と運用訓練幹部が『この編成で行きます』とリストアップする隊員と、自分の考える人員はだいたい一致しています。着実な仕事をしてくれるベテランと育てたい若手のバランスも考えて編成します」と教えてくれました。

 

(以下次号)

 

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(平成30年(西暦2018年)11月29日配信)

 





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