平成30年西日本豪雨災害派遣(6)

7師団への質問に回答してもらった司令部総務課総括班長の野田哲也3等陸佐は、今回の災害派遣には7師団から派遣された入浴及び給水両部隊を第7師団司令部として側面から補佐する立場で参加しました。
野田3佐自身は、第11普通科連隊に所属していた際の2000年の有珠山噴火、11連隊第3普通科中隊長の際の東日本大震災に次ぎ、今回が3度目の災害派遣でした(その後、北海道胆振東部地震の災害派遣にも参加)。なお、2016年5~12月は南スーダン派遣施設隊の第10次要員として海外派遣も経験しています。今回の災害派遣について、野田3佐の目から見た現地の様子や7師団の支援活動について話してもらいました。
「愛媛県の宇和島市や西予市の河川の氾濫や傾斜地の土砂崩壊による被害状況は、テレビの映像で見るものよりはるかに凄惨で、目の前の現実が言葉にならなかったというのが最初の正直な印象です。電線に引っかかった漂流物、建物の1階部分が水没したり押し潰されたりしている家屋、土砂で流された大型バス、道路脇や広場に積まれた瓦礫の山等、被害の甚大さを印象付ける光景が一面に広がっていました。東日本大震災の際も感じたことですが、やはり自然の力の強大さを痛感しました。一瞬にして形あるものを破壊し、人々に絶望感を与える自然の猛威を改めて感じると同時に、自分達に何ができるのだろうかと思わず自問自答したことを記憶しています」
「北国からやって来た部隊の上に例年にない猛暑ということもあり、給水支援隊、入浴支援隊の両隊長とも隊員達の健康管理やモチベ―ジョンの維持に気を使っているのが伝わってきました。隊員達は地域の方々からいただく『ありがとう』『お疲れ様です』の言葉に元気や勇気をもらい、自らを奮い立たせていた感覚もあったことでしょう。地域の方々とは日が経つにつれて顔見知りになったり談笑したりと、コミュニケーションの機会も増えていきました。われわれが北海道から来たことを知った方々からねぎらいや激励の言葉をかけていただいたり、地元名産のみかんを頂戴したりすると、やはりうれしかったですね。入浴所に来てくれた子ども達が、お礼の手紙や絵を持ってきてくれたのにも癒されました。そういった経験から、現地に出発する際に第7師団長(前田忠男陸将)が要望された『地域の方々の目線に立った活動』はきわめて重要なことなのだと再認識しました。自分達から地域に方々の中に入ってコミュニケーションを図り、さまざまな情報に耳を傾けるといった姿勢が大切なのだと感じています」
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
(平成30年(西暦2018年)11月8日配信)