航空自衛隊 第1高射群(1)

平成26年6月29日、第1高射群創立50周年記念式典が入間基地で行なわれました。
昭和38年に習志野駐屯地で陸上自衛隊101高射大隊として編制完結、翌年にナイキと隊員が丸ごと陸自から空自へ移管され航空自衛隊第1高射群として新編されてから、半世紀が経ちます。その歴史のせいか、高射部隊は空自でありながらどこか陸自と似た空気を醸し出しているところがあります。
第1高射群は傘下の4つの第1~第4高射隊で、ペトリオットシステムPAC-3(Patriot Advanced Capability-3)によって首都圏防空を担っています。ペトリオットは、航空自衛隊のサイトには以下のように紹介されています。
「ペトリオットは、地上から航空機を撃墜するミサイルです。「ペトリオット」は、現存する地対空誘導弾のなかでは最も優れたシステムといわれており、それは先の湾岸戦争でも証明されました。多機能フエーズド・アレイ・レーダーやTVM誘導方式の採用、さらにコンピュータの大幅な活用によって各種機能の自動化、迅速化、高精度化が図られています。超低高度から高高度にいたる複数目標に対し、同時に対処可能であり、高い撃墜能力を有しています。日本では昭和60年度から整備に着手し、平成6年度中に配備(那覇)を完了しました。また、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備にともない、ペトリオット能力向上とPAC-3ミサイルの取得が計上され、22年度末までに1、2及び4高群、高射教導隊及び第2術科学校に整備されました(注:平成27年までにすべての高射群にPAC-3が整備されました)。」
なお、日本の報道機関では「パトリオット」と称されることもありますが、日本国内での公式名称は英語の発音に近い「ペトリオット」です。
空自の高射群の組織について簡単にご紹介しておくと、航空総隊隷下の5つの航空方面隊にそれぞれ高射群が所属しています。北部方面隊(司令部:三沢)には第3高射群と第6高射群、中部航空方面隊(司令部:入間)には第1高射群と第4高射群、西部航空方面隊(司令部:春日)には第2高射群、そして南西航空方面隊(司令部:那覇)には第5高射群。さらに各高射群隷下に複数の高射隊があります。
取材で訪れたのは入間基地に所在する第1高射群で、隷下に第1~第4高射隊があります。
第1高射隊は陸自第1空挺団で知られる習志野駐屯地内にある習志野分屯基地、第2高射隊は神奈川県唯一の空自基地である武山分屯基地、第3高射隊は陸上自衛隊関東補給処等が所在する霞ヶ浦駐屯地内の霞ヶ浦分屯基地、そして第4高射隊は入間基地に所在しています。いずれの高射隊も平成19~20年の間にペトリオットPAC-3が配備されました。国内には長距離射程ミサイル用の射場がないため、実射訓練は米国で行なっていて、この訓練はASP(年次射撃訓練)と呼ばれます。
第1高射群の編成は、高射群司令の指揮を補佐する群本部、総括班・運用小隊・整備小隊からなり作戦統制を行う指揮所運用隊があります。指揮所運用隊隷下には、千葉県南房総市に各高射隊間の無線中継等に関する支援を行なう峯岡山派遣班もある。さらに補給、輸送及び整備支援を実施する整備補給隊があり、指揮所運用隊及び高射隊の保有する装備品等の支援整備や補給業務を実施しています。
この整備補給隊の准曹士先任室、別名「第2工作室」と呼ばれており、イベントで引っ張りだこのゆるキャラ「パックさん」や、第1高射群創立50周年記念式典のウェルカムゲートとなった約1/4スケールのミニチュアナイキなどの名作を生み出しました。さすが第2工作室!
パックさんの中の人は交代制、2機のミニチュアナイキは現在、中警団司令部と第1高射群司令室に展示されています。いずれも准曹士先任を筆頭に、整備補給隊の創意工夫が集約された見事な出来栄えです。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
(平成30年(西暦2018年)5月10日配信)