第5普通科連隊八甲田演習(3)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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第5普通科連隊八甲田演習(3)

演習前日は、幸畑旧陸軍墓地への参拝、連隊長訓示、隊容検査などが行なわれました。
隊員たちは迷彩模様の防寒戦闘外被の上から白色覆いをまとっています。背嚢を背負わせてもらうと、うんざりするほど重いのなんの。
中にはスリーピング、飯盒、携行食、固形燃料、下着と靴下2セットずつ、防寒手袋、ワックス、カンフル軟膏、武器手入れ具、懐中電灯などが詰まっています。どれもジッパー付きのビニール袋に入れられ(ジップロックが非常に重宝します)、防水対策もぬかりありません。
このほかに小銃やスキー一式、防護マスクなどの身に付けるものが約15kg。この重みが演習をよりきついものにするのでしょう。
4人1組で曳くアキオ(そり)には、おもにビニールシート、毛布、ストーブ、ロールマット、燃料、水缶、予備のスキーなどが収められていて、重さは最低50kg、重いものは100kg近くにもなります。

 

入隊1年目にして八甲田演習に挑むことになった本部管理中隊衛生小隊の1等陸士のWACは「高校時代はクロスカントリーをやっていたんですが、今回は背嚢の分、きついことになりそうです」と、荷の重さの不安を口にしました。同じく衛生小隊の1等陸士は「入隊するまでスキーはあまり経験がなかったので練度に不安が……迷惑かけないようにしないと」。

 

第2中隊付の幹部候補生の陸曹長は、この時点では5連隊に“居候”して幹部修行を行う見習いの身です。
「だから八甲田演習に参加できるのは最初で最後の機会かも、すごく貴重な体験です。春からは幹部自衛官となるので、今回は現役の小隊長や中隊長から現場での指揮統率を学びたいです」

 

小隊長の3等陸尉は今年で26回目の参加という、八甲田の天国も地獄も見てきたベテランです。
「地球温暖化なんて八甲田には関係なし、問題は風速20mも当たり前という風です。風速1mにつき体感温度は1度下がり、寒さは疲労を蓄積させます。吹雪いて前が見えなくなることも、心理的にこたえます。今は装備もよくなっているし無線機もスキーもあるので、万が一はぐれても落ち着いて対応すれば大丈夫なんですけどね。それでも八甲田はあなどれません」

 

第2中隊長の3等陸佐からは「陸曹、陸士の中には旧5聯隊の遭難事件をよく知らない隊員もいるんです」という話を聞きました。
「そこで中隊では曹士を対象に、毎年この時期に過去の悲劇と教訓を伝える精神教育を行っています。私はといえば、八甲田演習のような気合の入る行事の前には、中隊長室に飾られている歴代の第2中隊長の写真を拝んでから臨みます。どの中隊長もみなこの演習の経験者、先輩ですからね」
以前から知る者も新たに知った者も一斉に、明日は八甲田の山中へ向かいます。

 

翌朝0700、氷点下9度の小峠。映画『八甲田山』の行軍シーンが撮影された場所でもあります。
手にしている取材ノートに舞い落ちた粉雪はいつまでも結晶の形のままで、なかなか溶けません。ボールペンのインクの出も悪くなり、かじかんで思うように動かない手で、後で判読できるか自分でも不安なまま鉛筆でメモを取ります。頬にかかる髪に触れると、ばりばりに凍っていました。

 

先発隊の第1中隊は、経路をきり開くためにジョーリングという方法で出発しました。
時速10〜15キロで雪を掻き分けては圧雪していく4台の雪上車。それぞれから伸びた2本のロープに隊員約25名が曳航され、標高差300mの上り道にスキーの足跡を付けていきます。

 

 

(以下次号)

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(平成30年(西暦2018年)3月15日配信)

 





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