第302保安警務中隊(1)

今週から計3回の予定で陸上自衛隊第302保安警務中隊をご紹介します。雑誌「丸」2017年9月号に掲載された記事をもとにしたものです。
国家元首等国賓の来日時に敬意を表するために行なわれる栄誉礼は、儀仗の中でも特別儀仗と呼ばれています。
特別儀仗は皇居、迎賓館、首相官邸、羽田空港および防衛省等において実施される国際儀礼に基づいた儀式であり、陸上自衛隊第302保安警務中隊と中央音楽隊で編成される特別儀仗隊が実施しています。各国の国家元首は特別儀仗隊の威容を通して自衛隊の精強さや日本の現状を推察するため、その担う役割は極めて重大です。
第302保安警務中隊は、各方面警務隊直轄の警務科部隊です。
編成は中隊長以下、中隊本部と3つの小隊からなり、小隊はさらに3つの班に分かれています。総勢115名、特別儀仗隊はうち101名から成り立っています。
主任務は警護、道路交通統制などの保安業務で、要請があった駐屯地に出向いて交通整理などを行ないます。また、犯罪の予防・鎮圧という業務もあり、特別司法警察員という資格を持つ隊員によって、隊員の犯罪捜査などにも関わります。さらに2008年3月の改編で、司法警察職務任務も付与されました。隊員の犯罪を取り締まる、いわば自衛隊内の警察官でもあるのです。
そして付加任務として特別儀仗があるのですが、実際にはこの付加任務のほうに費やされる時間のほうが長いです。
1957年に特別儀仗任務が付加されてから、2015年3月には儀仗2500回を達成。その功績に対し、同年10月には内閣総理大臣特別賞を受賞しました。
2017年4月には、52年ぶりに特別儀仗服を刷新。通気性やフィット感も向上させ、冬服は荘厳な場にふさわしい青みがかった紺を基調とした2種類を導入、夏服は白地に赤のラインを入れて日の丸をイメージ。夏冬ともにネクタイをなくして着崩れしにくい詰め襟としました。日本武道館で今年11月に開催された自衛隊音楽まつりでは、わざわざこのニュー儀仗服をお披露目する時間を作って客席に紹介しました。
第302保安警務中隊に配属され、特別儀仗を行なう一員になるための選考基準はさすがに厳しいものです。
身長170~180cm、体重60~75kg、矯正視力が0.6以上で眼鏡は不可。
O脚などの骨格も厳しくチェックされ、個人の努力だけではどうにもならない条件も満たしていなければなりません。
容姿に関して選考基準には「端正な者」、要はイケメンということです。
一度「不可」の判断が下されると、二度と配属されるチャンスはありません。身長や骨格といった条件が満たせず、泣く泣く特別儀仗隊員になることをあきらめる隊員もいます。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
(平成29年(西暦2017年)11月30日配信)