防衛大学校(9)

今週は「防大生の生声」をお届けします。
なぜ防大に入ったの? どんなことが辛かった? 逆に楽しかったことは?
そんな14の疑問に、防大生7名が本音で答えます。
普段聞くことのできない防大生の生声が凝縮された貴重なQ&A。
誌面掲載時は本名でしたが、今回は以下のようにご紹介させていただきます。
<回答した学生>
A男さん 4年 陸上要員 文系 柔道部
B男さん 4年 陸上要員 理系 応援団リーダー部
C子さん 4年 海上要員 理系 居合道部
D男さん 3年 海上要員 理系 吹奏楽部
E子さん 2年 陸上要員 理系 空手部
F男さん 2年 航空要員 理系 硬式野球部
G男さん 1年 共通 硬式野球部
Q1 入校動機
防大に入校したいという明確な意思を持っていた人や自衛隊に属することまで見すえて入校してきた人、そして「受けてみたら受かっちゃった」という人。入校動機はさまざまです。
「高校卒業後に入隊しようと思っていたが防大の存在を知り、じゃあ受けてみようと」(A男さん)、「予備校の友人が防大を受けると言って、自分も興味を抱いた」(B男さん)、「防大の一次試験の学科が自分のこなせる科目と一致した」(F男さん)。
身近に自衛官など関係者がいる環境も影響するようです。
たとえば「父が自衛官だったので、自衛隊に入るというのは決めていた」(G男さん)、「兄が高等工科学校にいて、帰省するたびにムキムキになっていくのを目の当たりにして。それに大学で勉強したかった航空宇宙学科が防大にもあったから」(D男さん)など。
一方、「模試感覚で受けたら合格した」というのは女子学生の2人。「一浪して薬学部を目指していたので、防大の試験は模試感覚。合格したものの入校するつもりはなかったのだけど、本命の薬学部に落ちてしまった。そこでもう一浪するよりは防大を選ぼうということに」(C子さん)、「模試感覚で受験しようとしたら、その時点で進路指導の先生から呼び出しを食らって強硬に反対されたので、かえって燃えた」(E子さん)。ちなみに知り合いの自衛官は「担任にめちゃくちゃ反対された」と言っていました……
Q2 防大に入ってよかったこと
全員が共通して言ったことは「いい仲間と出会えたこと」。実際、幹部自衛官となってからも「●期生」という同期のつながりは深いものです。
同級生だけでなく、「尊敬できる先輩に出会えたのは幸せ。中隊にいる後輩はみんな弟のような気持ち」(B男さん)と、上級生や下級生とも信頼関係が生まれます。
また、「防大に入って両親が喜んでくれたことが嬉しかった」(G男さん)という親思いのコメントも。
Q3 この制服、どう思う?
1年生はどこに行くにも制服着用、これはかなり目立ちます。2年以降は防大を1歩出れば私服が許されるので、横須賀界隈に部屋を借り、そこで着替えてから出かけるのが一般的。それでも防大~下宿間は制服なので、やっぱり目立ちます。誰もが他人の視線を感じるというし、ほとんどの学生が一度は何らかの不快な経験もしています。たとえば「普通の人にいきなり『給料泥棒』と言われた」(C子さん)など。
男子学生の多くが経験しているのは、「駅で駅員に間違われること」。「聞かれたことが電光掲示板を一目見ればわかるようなことなら教えてあげる。でも一度すごくマニアックな質問をされて『すみません、わかりません』と答えたら、『なんだお前ちゃんと仕事しろよ』みたいなことを言われた」(A男さん)。すみません、笑いました。
「この制服は気に入っているので、街で見られても結構誇らしい気分」(G男さん)、「帽子はちょっとやるせない」(F男さん)、「制服よりも髪型で防大生だとわかってしまう!」(E子さん)という意見もありました。
なかには「制服で飲みに行くと、たまに自衛隊や防大好きな人がおごってくれることがある」(B男さん)、「地元佐賀県の成人式に制服で出席したら大人気だった」(D男さん)というおいしい経験をした人も。
Q4 入校までのイメージと入校してからのギャップ
「訓練が毎日あって肉体的にハードなのかと思っていたら、勉強メインだったのが意外だった」(A男さん&F男さん)という意見がある一方で、「学士が取れるということで、勉強できる環境にありつつ訓練もやっていう状態を想像していたのだけど、実際はもうちょっと勉強する時間が欲しい」(E子さん)という声も。「もっと厳しいのかと思っていたので、こんなもんかと安心した」(G男さん)というつわものも!
次回も防大生の生声、続きます。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
(平成29年(西暦2017年)10月19日配信)