究極の集団、自衛隊から学ぶ(2)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





渡邉陽子さんへのお問い合わせは、こちらからどうぞ

↓↓↓↓

究極の集団、自衛隊から学ぶ(2)

先週に続き、ビジネス誌に掲載された記事に加筆・修正したものをお送りします。

 

★新隊員教育で別人に★
陸曹の場合、多くは高校や専門学校(現在は大卒もかなり多いです)を卒業後、4月に入隊してきます。茶髪長髪、腰パンあり細眉ありの、どこにでもいる普通の若者が駐屯地にやって来てから約1週間後に入隊式が行なわれます。
この最初の1週間でジャージ姿&男子は全員スポ刈り、女子は眉毛・耳・襟が見える、限りなく非ビジュアル的なショートカットと外見が変わり、号令に合わせて動くことを学び、起床から就寝までラッパに合わせて行動することを覚えます。
そして迎える入隊式では、背筋がしゃきっと伸び、大きな声で服務の宣誓を読み上げる堂々としたわが子の姿に、招かれた両親は腰を抜かさんばかりに驚くのです(さらに入隊後、最初に外泊を許されるゴールデンウイークに帰省したわが子が、自分の洗濯物をたたみベッドをきちんと整える姿に、再び驚愕します)。

 

入隊するとまず教育隊などで3カ月の前期教育を受け、自衛官としての基礎・基本を学びます。ほふく前進や射撃、戦闘訓練など、生まれて初めての経験をいくつも重ねていきます。
17時の終礼後に夕食と入浴、その後23時の消灯までは自由時間となりますが、この時間帯に靴磨きや共用場所の清掃、洗濯、アイロンかけなどを行なうので、のんびりくつろぐ余裕はありません。しかも慣れないうちは指導が入り、アイロンのかけ直し、掃除のやり直しを命じられることも多々あります。1人になれるのはトイレの中のみ。
候補生は(前期教育の間はまだ自衛官ではありません)分刻みの慌ただしい生活環境に四苦八苦しつつ、班長の粘り強い指導と同期生たちと共に助け合う精神で、次第に時間を有効に活用する術を学んでいきます。同時に団体生活の中で自衛隊の規律を学び、責任感や団結心を養っていくのです。

 

候補生を指導する陸曹の班長はアメとムチを絶妙に使い分け、生まれたばかりの雛を育てる親鳥の役目を果たします。ここで尊敬できる班長と出会った候補生は、自分もこんな陸曹になりたいと目標とするようになります。ちなみに班長の上官に当たる尉官クラスの区隊長は、入隊したばかりの候補生にとっては遠い存在すぎて、「えらい人」という漠然としたイメージしかないようです。この辺りは一般企業と同じ感覚と言えるでしょう。

 

 

★命令は「上意下達」★
自衛隊は上位の命令を下位の者に徹底させる、つまり上官の命令は絶対であるという「上意下達」の世界です。
これは命をやりとりする現場に身を置くことを想定している自衛隊では当然のこと。戦闘中に上官の命令に従わない隊員がいたらどれほど現場が混乱するか、素人でもわかります。
「そんな命令に従ったら確実に死ぬ」と思っても、異議を唱えることなく従わなければならないのが自衛隊です。

 

とはいえ、不幸なことに直属の上官が人間としても指揮官としても信用できない場合(しかも上官が自分の息子ほどの年だったりすることもあり得るわけです)、そしてそういう上官の腑に落ちない命令によって自分の身が危険にさらされるとなれば、理不尽と思ってしまうのが人というもの。日頃から指揮官と隊員の間にコミュニケーションがあり、信頼関係が構築されていなければ、命のやりとりをする現場で上意下達を徹底することは困難です。
それゆえに幹部自衛官は指揮官たるべく教育を受けて来ているのだし、統率力やリーダーシップを培うのです。
指揮が悪ければ部隊が全滅する恐れもあります。命令の重みを誰よりもわかっているのは、それを発する指揮官自身ですし、そうでなければなりません。

 

ところで会社では、上司に従わない社員は査定で低く評価されたり、昇任が遅れたり、下手をすればリストラの対象となります。自衛隊の場合は「死」につながります。
では上意下達の世界では、部下が上官にもの言うことは許されないのかと言えば、そんなことはありません。
自衛隊では少々堅苦しく「意見具申」という言葉を使いますが、陸上自衛隊服務規則第20条によると、隊務の向上改善に役だつと思ったことは、積極的に上官に意見具申しなければならないと記載されています。「してもいい」ではなく「しなければならない」のです。
そして、その結果が具申した意見と異なったとしても、そのときはいさぎよく服従すべしとも書かれています。言うことは言うべし、そしてその結果がどのようなものであっても従え、ということです。さらりと書かれていますが、重いです。
陸曹陸士が意見具申するというのは、そう気軽にできるものではありません。だからこそ上官である幹部自衛官が、「この人になら意見具申できる」と思われるような人間でなければならないのです。

 

特別国家公務員の自衛隊にリストラはありません。しかし入隊時に「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、」と、服務の宣誓をしています。
「集団」に完成形というものがあるとしたら、自衛隊こそが究極の集団の姿ではないでしょうか。すべての思考や行動はすべて「敵に勝つ」ためのものであり、そのために命を賭す集団。
自衛隊という組織を知れば知るほど、企業で生き残るだけでなく出世の階段を上っていくための手掛かりが散りばめられていることに気づくのです。

 

……大変中途半端で恐縮ですが、以上です!

 

 

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(平成29年(西暦2017年)3月2日配信)

 

読者より

 

陽子さん 御立派です。
女性が自衛隊に関心があること自体驚きです 然も陸上自衛隊とは・・・。
当方 福島出身故 山本五十六ー>海上自衛隊ー>「五省」と繋がり・・・。
さわさりながら 「自衛官の心構え」は一般社会(研究開発事業除く)に通用するものと思います。例えば 使命の自覚とは「ミッション」であり
全ての行動はここから始まるのではないかと・・・。又「5分前励行」もタイの或メーカーでは実行されています。
と言うことで 海自に関する記事も是非拝読致したく。よろしくどうぞ。(Y)

 

Y様
メッセージありがとうございます。海は航空隊の取材がこれまで多く、まだメルマガでご紹介していないものもありますので、今後掲載できればと思っています。なお、今月末発売の「丸」4月号には東京音楽隊密着記事が掲載されています。(渡邉)

 





渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。




 

↓メルマガ「軍事情報」へのご登録はこちらからどうぞ↓
メルマガ購読・解除
 



渡邉陽子さんへのお問い合わせは、こちらからどうぞ

↓↓↓↓

関連ページ

究極の集団、自衛隊から学ぶ(1)
ライター・渡邉陽子さんが毎週お届けするメルマガコラムのバックナンバー「究極の集団、自衛隊から学ぶ(1)」(平成29年(2017年)2月23日配信)です。