海上自衛官(7)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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海上自衛官(7)

 今振り返ると「溝は深すぎる」と半ば諦めながらも、私が家族と米海軍と海上自衛隊の接点であり続けることができたのは、日本と米国という世界でも類を見ない強い友好の絆で結ばれた両国の将来に、この事故が暗い影を落とすことがないようにというただそれだけの想いでした。
犠牲者の家族のために、誠意を持って対応しようとしている米海軍のために、日米両国政府のために、両国民の感情のために、自分は何ができるのであろうか。日米間の文化、歴史、制度、習慣の相違という大きな壁に直面しながらこの質問を自問自答する毎日でした。
 2001年9月に起きたアメリカの同時多発テロ事件の反応にも見られた通り、日米間には価値観の相違、感じ方の違いが数多くあります。歴史認識もしばしば食い違いますし、時にはその溝が越えがたいと思われるものもあります。
 しかし、そうした懸隔があっても、日米は同盟国として永くつきあわねばなりません。そのために必要なのは、何よりも共通の体験を重ねることだと思います。困難や問題を共に乗り越えて初めて、共感が生まれ、信頼が育まれていくものであると信じています。
 しかし、最終的には私を毎日駆り立てたのは「人が人を愛し、人が人の死を悲しむ気持ちに変わりはない」という洋の東西、時代の新旧を問わず、生ある物すべてに共通する真理でした。
 これまで述べてきましたように、米海軍は人として、組織としてあるべき姿を追究し、その道がいかに険しいものであろうと、決して挫折することなく万難を排し、あらゆる困難な状況を乗り越え、ご家族と交わした「引き揚げます」との約束を果たすために最大限の努力を傾注しました。私はここに米海軍のもっとも素晴らしい伝統である「名誉」を学んだことを忘れません。
 ひたむきな努力を続ける米海軍の姿も、最愛の家族を失い、怒り、悲しみ、疲労で混乱しているご家族の姿もどちらも真実の姿でした。
また、将来の姿を考えた時に、仮に溝ができたまま両者が未来永劫、交わることがないとしても、それも真実の姿でしょう。
しかし、両者の間に身を投じ、お互いに相手のことを理解しあい、誠意を示し合い歩み寄れる部分は、歩み寄ることも真実の姿でしょう。
 理不尽きわまりない事故によって命を落とした「えひめ丸」乗員の家族と引き揚げ作業を担当した米海軍、またその陰になって支援した海上自衛隊の間に深い絆が生まれたとすれば、それはともに悲しみ、悩み、苦しみ、ともに汗を流すということを共有した結果に違いありません。

 

=====

 

 林秀樹氏の手記の抜粋は以上です。
 海底620mから引き揚げられたえひめ丸は船内の捜索を終えた後、ホノルル空港沖約34キロの水深2000mの深さに再び沈められました。

 

 えひめ丸と米潜水艦グリーンビルの衝突現場を見下ろせるホノルルのカカアコ海浜公園には、えひめ丸の慰霊碑が建てられています。『正論』には「慰霊碑は9人の犠牲者を象徴する9つの御影石を縦横3列に並べた正方形で、広さ13・3平方m。慰霊碑には米海軍が船体から回収した錨を9つの輪とともに捉え、そのわきに宇和島水産高校の校章が描かれた。デザインは同高校の卒業生が担当した。」とあります。

 

 連載第4〜7回は林氏が転載を快諾してくださったおかげで掲載が叶いました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 林氏は今月、海上自衛隊を定年退職されました。今後のご活躍も祈念しつつ、「海上自衛官」の連載を終了します。

 

 

 

(海上自衛官 おわり)

 

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(平成29年(西暦2017年)1月26日配信)

 





渡邉陽子さんのデビュー作

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