海上自衛官(6)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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海上自衛官(6)

 今週も引き続き林氏の手記より抜粋してご紹介します。
 不可能と思われた海底620mからえひめ丸が引き揚げられ、行方不明者や遺留品の捜索活動が米軍によって行なわれました。
 事故が発生した2月10日から9カ月が経ち、ついに捜索活動終了のときを迎えました。この間、アメリカは9.11同時多発テロに見舞われています。米国の持ちうる戦力はどんどん中東へ投入されていました。その状況下においても、米海軍はえひめ丸の捜索を予定より早く切り上げようとはせず、行方不明者の捜索を続けました。
それではどうぞ。

 

=====
 船内捜索では、8人までは発見されたものの、一人の生徒さんはどうしても発見することができませんでした。
 米海軍が3週間強にわたって実施した潜水作業を終結し、海上自衛隊のダイバーによる最終確認に後の望みを託す時を迎えるということは、米海軍関係者によって苦渋の決断でありました。

 

(※行方不明者捜索最終日の)当日はご家族にとっても心を静めることのできない、落ち着かない1日であったと思います。どんな言葉で伝えようと、ご家族の心の苦しみを和らげることなどできるわけがないことはよく判っていました。
 自分の気持ちが整理できないまま、一睡もできないうちに夜が明けて、ついにその日を迎えることになりました。「発見されました」という報告ができたらどれほど救われるかと電話が鳴るたびに一喜一憂していました。
 しかし「ちはや」からの「最後のダイバーが水面に上がった」との連絡を受け、ついに終わりの時が来ました。
 私の頭の中は真っ白になり、9カ月前の事故発生当時の混乱、家族からハワイで浴びせられた罵声、ファロン特使に日本の作法を教えたこと、審問委員会、「ちはや」派遣に至る過程、長く不安な吊り上げ作業、「ちはや」のパールハーバー入港などが次々と脳裏に思い出されてきて、考えがまとまらないままホテルの部屋に入りました。
 私が、真心の声を精一杯伝えようと思い、家族にお話した内容は次の通りです。

 

「これまであらゆる可能性について考えられるすべての捜索を実施しましたが、手がかりを得ることはできませんでした。本日午後、最後のダイバーが水面に上がってきましたが、その瞬間をもって『ちはや』艦長は苦渋の決断を下すに至りました。最後に、先週、『ちはや』にお越しになった際に『ちはや』乗員にいただいた白いバラの花束と昨日お預かりしたクッキー(※行方不明の生徒の母親がちはやに手作りクッキーを差し入れていました)は、ご子息の部屋のロッカーに入れ、ご子息がいつでも花を見てご両親のことを想い出したり、クッキーを食べられるようにロッカーのドアは開けておきました」

 

 これだけの言葉を伝えるのに、最後は胸が締め付けられ、言葉になりませんでした。16年間大切に育ててきたご子息を、その子が17歳になった2日後に失ってしまったご夫婦に、このような残酷な言葉をかけなければならない辛さ、私にとってもご子息は手が届かない、帰らぬ人となってしまったという気持ち、4カ月におよぶ終わりの見えない作業に黙々と専念してくれた「ちはや」の乗員に対する感謝の気持が一緒になって言葉になりませんでした。
 同席していた、米海軍の引き揚げ作業総括責任者は「ご両親のお気持ちを察すると余りあるものがありますが、これまで米海軍のダイバーが全力を尽くしたことをご理解いただき本当にありがとうございました」と涙ながらに話されました。

 

 

 

 

(以下次号)

 

 

 

(わたなべ・ようこ)

 

 

 

 

(平成29年(西暦2017年)1月12日配信)

 





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