陸上自衛隊女性自衛官教育隊(7)

渡邉陽子さんのデビュー作

オリンピックと自衛隊

1964東京五輪は、自衛隊の支援なしに成功しなかった!
2020東京五輪も、自衛隊は同じ役割を求められることになる
知られざる自衛隊の苦難と栄光の歴史が、ここに明らかに!!
オリンピックに熱い思いを抱く、すべての人に捧げます。

自衛隊家族会発行「おやばと」、「隊友」160715号、 「月刊モデルグラフィックス」2016/8号「月刊丸」2016/8号160712「防人の道 NEXT」「歴史群像」8月号(学研)160701 桜林美佐の国防ニュース最前線、「月刊世界の艦船」2016/9号、160809 政治学者・岩田温の備忘録 で取り上げられました。





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陸上自衛隊女性自衛官教育隊(7)

女性自衛官教育隊の連載、最終回です。

 

昼食後の休憩をはさみ、午後は歩哨と斥候の班に分かれての訓練となりました。
歩哨を行う班の候補生は2人1組で掩体に入り、有線代わりの鳴子を付け、小銃を構えます。そのすぐ隣で班長が指導していきます。
目印になるものは何か、左右の限界はどこか、敵の経路は車両と徒歩でどのようなルートが考えられるかなど、丁寧な説明はかなり細部にまで及びます。敵を見つけたと言う候補生には、「どんな点から敵だと判断した?」とすぐさま尋ねています。
大きな動き、急な動きは発見される要因となるため、周囲を見回す候補生たちの動きもゆっくりと慎重です。互いの見ている場所が重ならないよう気をつけながら、異常の有無を確認していきます。

 

一方、斥候の訓練を行っている班は、誰何の指導を受けています。
敵か味方かはっきりしない相手に「誰か」と問いかけるだけなら、候補生達も苦労はしません。けれど「緑本」には、3度誰何しても相手から反応がない場合、捕獲または刺殺、射殺も可能という、入隊して間もない女子には怯んでしまうような記述があります。おのずと誰何は厳しく相手を威嚇するような口調で行わなければなりません。
ところが誰何する側もされる側も寝起きを共にする同期の仲間とあり、どうしても劇場型の口調には多少の照れが入ってしまいます。それに気づいた班長から、「女優になれ女優に!」と鋭い檄が飛びます。

 

そういう班長達のほうが、実際にははるかに演技派です。
ある時は大きな声で指導し、時に人情あふれる声でさとす。
飴とムチというつもりではないのでしょうが、厳しさとやさしさを意図的に使い分けるよう、自身を律しているところが見受けられます。

 

班長経験のある女性自衛官から聞いた話ですが、班長と候補生が同年代の場合は共通の話題も多いせいもあり、ついふっと同じ目線で話をしそうになるけれど、そこをぐっとこらえるのだそうです。班長と候補生という関係である時は、友達になってはいけないのですね。

 

今回、候補生達が一様に口にしていたのが「班長はかっこいい」でした。
厳しい言葉を投げてくることもある班長達に対しネガティブな感情はまったく感じられないどころか、班長は候補生の憧れであり、尊敬の対象であり、目指すべき陸曹の姿そのものでした。

 

班長達もそれがわかっているから、候補生の模範たれという意識が高く、熱意を持って指導し、候補生以上に学び、影での努力を惜しみません。雨上がりに匍匐前進の訓練をする際、最初にためらいなくぬかるみに這って手本を見せるのは班長です。
この前期教育で班長の指導を受け、「いつか自分も教育隊の班長になりたい」と思う候補生の少なくないことが、班長達の仕事ぶりを何よりも物語っています。

 

この日、午前中は夏のような陽気だったのが午後は次第に雲が広がり、やがて大粒の雨が落ち始めると、あっという間にどしゃ降りになりました。
雷まで盛大に鳴り響く荒れ模様の中、隊員たちは背嚢から雨具を取り出しています。砂埃が舞っていた訓練場は、一気に水たまりだらけになりました。
この後、候補生達を待っているのは、濡れた小銃や泥だらけになった半長靴の手入れ。
彼女たちの長い1日はまだまだ終わりません。

 

 

(陸上自衛隊女性自衛官教育隊 おわり)

 

(わたなべ・ようこ)

 

(平成27年(西暦2015年)4月2日配信)

 





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