陸上自衛隊女性自衛官教育隊(2)

今回は、女性自衛官の中でも将来陸曹となるべく教育を受ける新入隊員、一般曹候補生をクローズアップしてみます。
一般曹候補生とは自衛隊の基幹要員となる「曹」を養成するコースで、入隊後2年9か月以降、選考により3曹に昇任、4年で一般幹部候補生部内選抜試験の受験資格が得られ、合格すると幹部に昇任できます。
2013年度の陸上自衛隊一般曹候補生の応募者数は、男子2万2415名、女子2993名。うち採用は男子2091名で倍率10.7倍、女子は78名、なんと倍率38.4倍という狭き門です。この倍率は海自の21.9倍、空自の13.6倍と比べても格段に高くなっています。
これほど高い倍率をくぐり抜けて入隊してきた彼女達は、当然ながら優秀。参考までに、任期制隊員として入隊する自衛官候補生は、2013年度の男子応募者数2万2580名、うち採用6407名で倍率3.5倍、女子の応募は2664名で採用499名の倍率5.3倍と、こちらの倍率は一般曹候補生ほど男女差がありません。なお、このような数値は防衛白書に「自衛官などの応募および採用状況」という資料で掲載されています。
今や入隊は狭き門の人気職種、女性自衛官。高卒だけでなく、大卒、なかには大学院卒ですらいわゆる一兵卒として入隊してきます。
昔は「制服がかっこいいから」などという入隊理由の女子もいたそうですが、平成になってからは国内での災害支援活動や海外で活躍する姿をテレビで見たのがきっかけという人も多く、国を守るという強い意識を持った隊員が目立ちます。また、かつては女性自衛官に与えられる仕事が文書、会計、通信などに限られていてそれ以外の業務に就くことはかないませんでしたが、先週書いたとおり今は職種も業務の幅も広がったため、自分の能力を発揮できる、自分の可能性を試せるところだというのも自衛隊人気の一因となっています。
ちなみに結婚相手として自衛官が大人気となっているようですが、自衛官と結婚するために入隊したという女性の話は聞いたことがありません。なにも自分まで自衛官にならずとも、自衛官との合コンに参加すればいいわけですものね。ただひとりだけ「幹部自衛官と結婚することが夢」と言っていたWACは知っています(夢は叶い、任期途中で退職しました)。そういう考えを否定するつもりはまったくありませんが、夫が昇任すると自分まで昇任したような勘違いはしないで欲しいと、ちょっと思います。
話がずれました。一般曹候補生として入隊したうら若き女性たちが、自衛官として必要な基礎的事項について最初に教育訓練を受ける場所、それが女性自衛官教育隊です。
東京都練馬区、埼玉県朝霞市、和光市、新座市にまたがる朝霞駐屯地は、東部方面総監部をはじめ、さまざまな部隊が駐屯する大きな駐屯地です。駐屯地内にある陸上自衛隊広報センター「りっくんランド」には、毎月約1万人の見学者が訪れ、隣接する朝霞訓練場は3年に一度行われる観閲式の会場でもあります。
この朝霞駐屯地のほぼ中央(!)に位置しながら、男性隊員が勝手気ままに立ち入ることのできない聖域があります。そこが女性自衛官教育隊です。
次回からようやく教育隊のご紹介です。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
(平成27年(西暦2015年)2月26日配信)
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