MCV配備部隊&密着ルポ(5)
2021年9月、名寄駐屯地で行なわれたMCV入魂式の後にはMCV中隊準備隊長の齋藤進之佑3佐が計画した戦力化訓練展示が行なわれ、即応機動連隊が諸職種部隊と協同して戦闘する様相をわかりやすく示しました。名寄駐屯地の営庭、レンジャー塔そばに巡らせた鉄条網の先にある装甲車が敵の陣地で、そこを攻撃するという設定です。
最初にUH-1が飛来、航空偵察により敵陣地を発見して即機連の情報活動を支援します。
さらに無人機スカイレンジャーが偵察するとともに、地上偵察も実施。偵察バイクが敵から射撃を受けたため、RCV(87式偵察警戒車)を活用した射撃による偵察を実施。
RCVが敵陣地を発見し、「規模1個分隊、陣内に装甲車2両を発見」と報告しました。
敵の陣地に対して火力を発揮すべく、120mm迫撃砲が準備します。さらに99式自走155nnりゅう弾砲も火力を発揮。
そしていよいよMCV2両が前進を開始しました。対機甲火力として敵の装甲目標に対して火力を発揮するとともに、普通科部隊が突撃してレンジャー塔一帯の敵を撃破します。
敵の陣地に突入する普通科部隊の行動を容易にするため砲弾を徹底的に敵陣地に落とし、敵に壊滅的な損耗を与えました。
敵が損耗を受けている間に、普通科部隊のWAPCがMCVと協同して突撃。最後はメイン道路を機動中のMCVが横行行進射を実施し、訓練展示は終了しました。
即機連新編の際に装備される各種装備品が登場した、内容の濃い戦力化訓練展示でした。
翌月には2両に増えたMCVの初めての射撃訓練が上富良野演習場で実施されました。
初度射撃から始め、徐々に難易度を上げていきます。初度射撃では、2両のMCVがまず点検射的に向けてTP(演習弾)を車外撃破により射撃します。最初の1発目は、射撃用意を終えた乗員たちは全員下車し、発射ケーブル器を用いて射撃します。
安全係と乗員が下車、緊張感が高まるなか、リモート操作で演習弾が発射されました。車両にあからさまな異常は見られず、弾はしっかり的に命中しています。
下車していた乗員たちが乗り込んで砲塔内を確認後、今後はHEAT(成形炸薬弾)を車内から射撃。1発ごとに後座長の点検、オイル漏れの点検を実施、無事に初度射撃を終えました。齋藤中隊長が「初度射撃がいちばん緊張する瞬間です。無事に射撃できてほっとしました」となんとも安堵した顔で語ってくれたのがとても印象的でした。準備隊の隊員たちも、自分たちのMCVでの初めての実射とあって緊張もあったことでしょうが、日頃の訓練の成果をしっかり発揮できた射撃でした。
続いて行なわれたのは縮射です。縮射ではまず0点規正と操砲で射撃を行なった後、直接命中法の射撃も実施されました。