陸自の演習場整備(10)
今週の演習場整備は、初めて演習場整備に参加した新隊員にクローズアップします。
4月に入隊した新隊員は、入隊後最初の3カ月で陸上自衛官としての基礎を学ぶ新隊員前期教育を受け、その後職種に応じた部隊でおおよそ9月中旬まで後期教育、そして10月上旬にはほぼすべての新隊員が各部隊に配置されます。
今回も3即機に配属された新隊員が数名、初の演習場整備に臨んでいました。もちろん誰も草刈り機は持たせてもらえず「いちばんつまらない」草集めが仕事です。
2中隊所属の1士は沖縄出身。
「地元の沖縄の部隊配属を希望していたので北海道と聞いたときはびっくりしましたが、雪を見たことがなかったのでちょっと楽しみでもありました。10月に名寄に初雪が降ったときは感激しました。演習場整備ではひたすら藪の中に刈られた草を投げ続けているので腰が痛くなっていますが、この整備でも普段の訓練でも、わからないことは先輩方にすぐ聞けるし、やさしく教えてもらえるのでとてもありがたいです」
同じく2中隊で長野出身の2士は自衛官候補生で入隊し、部内選抜で一般曹候補生となりました。
「地元の安曇野と名寄は環境が似ているので過ごしやすく、寒さも慣れているので苦になりません。北海道の食事もすごくおいしい。入隊直後はほふく前進でも同期に遅れを取ってしまうなど苦労しましたがどんどん鍛えられ、今はいずれ空挺の基本降下課程やレンジャーを目指したいと思っています。今回の整備ではひたすら草を集めて藪に捨てていますが、単純作業な分、取りかかりやすいです」
MCV中隊のWAC、地元は稚内という1士は当初、衛生科を志望していたそうですが、まさかの機甲科職種。
「最初はどうしようと思いましたが、実際に配属されて先輩方の仕事ぶりを見ていると、それぞれの役割があってみんな協力して仕事をするので声のかけ合いがとても多く、隊員同士の関わりが濃くて強いと感じました。今では1日も早く仕事を覚えて先輩たちの力になれるよう頑張りたいと思っています。今回の整備では境界線のロープ張りなどを担当しています。アップダウンが激しいので毎日滑って転んで泥だらけですが、先輩たちと話したりする時間も多いので楽しいです」
また新隊員ではありませんが、新隊員が憧れる草刈り機を自在に操り除草していたひときわ小柄な自衛官は、フェイスガードとゴーグルを外すとWACの士長でした。
演習場整備は課業後に隊員たちで集まり懇談する時間が楽しいとのことですが、「射撃訓練も好きです」。とはいえ、これまで訓練等でさまざまな部隊と関わる中で「航空管制官になる」という新たな目標ができたそうで、陸自航空管制員選抜試験のための受験勉強中とのことでした。頼もしいですね。