日本に足りないシステム&法整備(3)

在日米軍と一口で言いますが、実は陸・海・空・海兵隊の任務はばらばらです。横田に所在する在日米軍司令官は米空軍軍人ですが、在日米軍司令官としてはインド太平洋軍司令官の日本代表という政策担当者としての位置付けで、もうひとつの任務は第5米空軍司令官という輸送部隊指揮官です。ですから横田基地には、作戦する機能がありません。
一方の航空自衛隊は、対領空侵犯措置がメインの任務の組織ですから基本的に守りに徹しています。日米同盟は「鉾と盾の関係」と象徴的に言われますが、「あなた攻める人、僕守る人」というのが米空軍と航空自衛隊の関係なのです。

米陸軍と陸上自衛隊の関係は、さらに希薄です。在日米陸軍司令官としての任務は「陸上自衛隊に対する訓練支援」であり、第1軍団日本代表司令官としての任務は「人道支援・災害派遣」です。つまり日本防衛の任務が与えられていないのです。
米海軍と海上自衛隊はほとんど一体運用することで、冷戦時代も共にソ連の艦艇や潜水艦から米海軍の空母を守り、そしてその空母が最終的にソ連を打撃するおぜん立てをすることとしていました。現在もその緊密な関係は変わりません。
在日米海兵隊司令官は、有事の際は第7艦隊司令官の部下になります。数年前からは陸自と一緒に島嶼防衛に取り組んでいます。なお、その際に想定している相手は中国であり、北朝鮮ではありません。

ところで、自衛隊に敵基地攻撃能力は必要か不要か、という議論があります。
現在の自衛隊とは「自衛のための必要最小限度の実力」という位置付けであり、武力攻撃事態法でもそこは守っています。つまり、敵国に上陸し、敵の国土で武力行使をすることは理論上だめであり、敵基地を攻撃することもその範疇に入ると一見考察されます。
しかし、弾道ミサイル防衛という新たな概念が登場したことで、その概念が変わったといってもいいでしょう。弾道ミサイル防衛は、日本に飛来するミサイルを撃墜するものですが、発射基地すなわち策源地を叩かなければきりがありません。このように弾道ミサイル防衛の一環として発射基地を叩くことは、「自衛のための必要最小限度」の範疇であるということです。国会答弁でも「座して死を待つものではない」という意味はここにあります。
「旧軍のように他国を攻撃するのか」と言う人がいると思いますが、そもそも他国の民衆に対して攻撃するのではありません。あくまでミサイル発射基地を攻撃するということです。また敵からの攻撃を排除するミサイルも、市民を攻撃する殺りく兵器と同じと思っている人もいるでしょうが、実際には兵器システムも含め、まったく別ものです。私は、ミサイル防衛におけるミサイル発射基地を攻撃することは必要だと考えています。

(つづく)