日本に足りないシステム&法整備(1)

イデオロギーという弊害
ここ数年でようやく自衛官OBが公の場でものを言えるようになりましたが、20年前だったらあり得ませんでした。それは日本に根深くはびこる軍事アレルギーと、未だに残る冷戦中のイデオロギーのせいだと思います。
70年以上前の帝国主義時代の戦争のイメージを引きずったまま、その後大きく変容している現在のミリタリーについて正しく理解しようとせず、イデオロギーというオブラートに包む結果、軍隊や自衛隊に関連することは、なんでも一様に「反対」する。「他国の戦争に巻き込まれる」「海外派兵は他国に迷惑をかける」「危険なところに自衛隊を出すな」などワンパターンの言説を繰り返し、「昔きた道につながる」と妄信する。
日韓GSOMIA破棄の事案についても、日本のそういうイデオロギーが影響する言説がありました。「失効したら日本のミサイル防衛上大変なことになる」と言ったメディアは、つい最近までミサイル防衛に反対していた人たちでした。「安倍政権の乱暴な輸出規制という対韓国外交の失敗が招いたことだ」という話にしたい。これはまさにイデオロギーによって作られたストーリーです。
そういったメディアは、今の若者はネトウヨなど保守的で、これが安倍政権を支えていると言います。確かに一部極端な人もいるかもしれませんが、多くの若者は、これまで日本社会をリードしてきた人たちよりもより長く人生を過ごすこの国のことを、クールに直視し、事実(ファクト)から物事を考えているのです。その結果、「野党より安倍政権の方がまともだ」と判断しているだけのことなのでしょう。
戦後民主主義下で、冷戦というイデオロギーに強く影響を受けた私より上の世代人々は、事実関係(ファクト)は無視し、色眼鏡で見た意見で決めつけ、大声を出して他者を脅しにかかります。これからの日本や世界を担う主役は今の若者たちです。早期の世代交代が必要なのだと思います。

自衛隊と在日米軍の関係
日本という国家にとっての一番の脅威は、日本政府は認めようとしませんが、すでに領土問題化している尖閣諸島で傍若無人なふるまいをしている中国です。北朝鮮は止めろといっても核・ミサイル開発を続ける「乱暴で危険な国」という位置付けなのだと思います。
一方で北朝鮮は、安全保障や防衛に無関心の日本国民に、弾道ミサイル発射実験など目に見える形で危険性を伝えてくれたので、防衛力整備の観点からすると利用価値がある国と言えるでしょう。

(つづく)