対馬の3自衛隊(12)
対馬の陸海空自衛隊は連携がよく、2024年6月には陸・海・空自衛隊下士官交流が2日間に渡って行なわれました。海自の対馬防備隊司令は「海自は小規模部隊が分散配置されており自分たちだけではできないことがたくさんありますが、必要時に車両を貸し出したり、1緒に訓練をしたりして相互に能力、装備の不足を補っています。募集広についても3自衛隊が協力しており、厳原港まつりでは3自衛隊が共同してブースを設置します」。
さて、対馬は古来より日本史に幾度も関わってきた重要な島であると同時に豊かな自然、貴重な史跡に恵まれている一方で、現在では韓国からの観光客に経済を依存せざるを得ない、人口減少が止まらない島でもあります。
最近では2023年に原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の建設を巡り、比田勝市長が文献調査を受け入れないと表明したほか、対馬市の観音寺から盗まれて韓国に持ち込まれた仏像が同寺に所有権を認める判決が2023年10月に出たのにも関わらず2025年1月現在もまだ返還されていないこと、韓国人観光客の神社でのマナーの悪さなどが話題となりました。これについては次週、最新情報をご紹介します。
陸海空自衛隊との関係については常に変わらず良好で、これは古代の防人、中世の武士及び近世の軍人が、島民と一体となって対馬を守ってきた歴史的背景はもちろん、現在の部隊が積極的に地元行事の支援や各種大会への参加などを通じ、良好な関係の維持に努めていることも大きく影響していることは間違いありません。
2024年度の概算要求では、南西地域への機動展開能力を向上させるため、共同の部隊として「自衛隊海上輸送群」の新編や南西島嶼部等に部隊や物資を迅速に輸送するために使用する機動舟艇の取得が盛り込まれ、先日4月6日に編成完結式と輸送艦「にほんばれ」(基準排水量約2400トン)の引き渡し式が行なわれました。ついに陸自の海上輸送部隊が始動します。
現在のわが国を取り巻く安全保障情勢を考えれば至極当然のことではありますが、対馬は南西諸島に匹敵する国境防衛の最前線であることは地政学上からも事実です。日本という独立国家を守るために3自衛隊が集結している島であるという現実を、国民はもう少し認識すべきではないでしょうか。
韓国資本により基地周辺の土地が買収されたことから重要土地調査法ができたという経緯も含め、われわれは自身の暮らす国を誰がどこでどのように守っているのか、もう少し知る努力をすべきではないかと考える対馬取材となりました。
取材としての記事では最後になりますが、今回の取材では対馬駐屯地、対馬防備隊、海栗島分屯基地で隊員と同じ昼食を喫食しました。いずれも同じ予算、対馬という場所で、隊員の心と胃袋を満足させる献立を日々提供しています。
陸自は品数が多くボリューム満点(ここまで品数が多いのは初の体験)、海自はジューシーなパティのハンバーガー(陸自と空自の隊員が大変うらやましがっていました。対馬はハンバーガーショップが少ないのです!)、空自は対馬名物豚肉料理「とんちゃん」をアレンジした豚丼(ご飯の量を自分で決められるのがよかったです)。これまでの各駐屯地・基地で喫食してきた昼食を比較しても、どの食事も大変美味で、対馬で働く隊員たちの胃袋を確実につかんでいると思われます!
(つづく)