対馬の3自衛隊(10)

海栗島の第19警戒隊長兼ねて分屯基地司令によると、通過する軍用機がどこの国に属しているかといった点を除き、地形が関係ない上空の警戒監視は北海道から沖縄まで、どの分屯基地であれ任務内容に大きな違いはないといいます。
また、レーダーサイトは山の上など僻地にあることが多く、自ら希望して赴任する隊員ばかりではないという点も共通していています。ましてや海栗島は離島の離島、営内で暮らす若い隊員にとってはなかなかしんどいものがあることでしょう。
さらに若年隊員が海栗島に来てくれても、いきなりベテラン隊員と同じように業務をこなせるわけではありません。高性能なレーダーがあっても、それを扱うのは人です。

「装備品を扱えないと任務達成できませんから、若い隊員も任務に必要な資格を早く取得して、先輩隊員と対等に仕事ができるようになってもらうことが大切です。昔は『自分で調べろ』『見て覚えろ』といった風潮もありましたが、今は時代が違います。指導する隊員は言葉で教え手本を見せ、任務に影響のない範囲で実際にやらせてみる。教える側の先輩たちの責任は重大です」

「現在(2024年6月現在)、空曹が2名、1士や士長といった若い女性自衛官が7名も勤務してくれています。現在OJTを実施中なので、スキルを身につけ、ぜひ空曹を目指して欲しいですね」と、若手隊員に大きな期待を寄せています。
空士が一人前になるよう大切に育て、かつ孤島のレーダーサイトにできるだけとどまってくれるよう、階級も年齢もはるか上の隊員たちが、彼女たちを大切に扱っているのが手に取るようにわかりました。

(つづく)