第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(19)
2022年2月、北海道上富良野演習場にて、第2師団隷下第3普通科連隊の令和3年度第2次MCV射撃訓練が行なわれましたレポートの最終回です。
射撃2日目も天候に恵まれ、絶好の射撃日和となりました。朝の気温もマイナス7度と、昨日よりぐっと暖かく感じます。
この日は今回の射撃訓練のメインともいえる、小隊戦闘射撃が行なわれます。第2師団長の冨樫勇一陸将も視察に訪れました。
105mm砲躍進射撃、105mm砲行進射撃、連装銃行進射撃を一連の状況で実施する小隊戦闘射撃は、準備隊にとって初めての訓練内容です。4両のMCVがA~Dレーンに並びました。
まず第1状況として、MCV4両がそろって前進後、ふいに現出する目標に対する105mm砲停止射撃(HEAT)が行なわれました。
射撃での一連の要領についてだけでなく、小隊長は正確な火力の分火・集中と正確な撃破管理ができているか、車長は迅速な目標補足およびオーバーライドによる目標授受、確実な射距離確認後における射撃開始の統制などができているか、砲手は確実な弾種選択・装填および射距離確認、確実な直眼による砲口前の安全確認、操縦手は果敢なブレーキによる停止、装填手は停止直後の迅速な装填なども指導内容であり、これらは次の状況でも同様です。
第2状況では、ふいに現出するに目標に対する105mm砲行進射撃(TP)が行なわれました。車両を停止させることなく射撃するので、第1状況よりも難易度が上がっています。また、この射撃の最大の目的はあくまでも「4両が並んで行進射撃する練度を上げる」ことであり、「うちの分隊がいちばん早く射撃し、命中させる」ことではないので、足並みをそろえるという点も大事になります。
目標現出後は速やかに射撃号令を発唱し、射撃後も速やかなじ後の企図を含めた報告することが求められます。また、砲手は行進間の果敢な撃発(追尾射撃・安定射撃)や正確な射弾の観測・修正など、操縦手は行進間の装填の際は速度を一定に保てているか、装填手は1発目の行進射撃後、2発目は停止再装填して再度行進射撃練成できているかなどが指導のポイントとなります。
そして第3状況としてさらに前進後、ホップアップにより現出する目標に対して7.62mm車載機関銃による迅速な射撃を実施、状況終了となりました。
小隊戦闘射撃を終えて、齋藤MCV準備隊長にここまでの訓練を振り返ってもらいました。
「初めての小隊戦闘射撃でしたが、初弾が予想していたよりも早く出ており、しかも命中弾も得られていたのでよかったと思います。初度射撃ではいろいろな問題が発生したものの、こうして無事に小隊戦闘射撃まで終えることができてほっとしていますし、来年度につながるいい訓練になりました。今後は普通科部隊との協同や10ネットワークをどう使って戦っていくかというところを組み合わせた訓練を詰めていくことになるでしょう」
「MCV中隊新編時、部隊に装備されているMCVはまだ予定数に達していません。配備されたMCVを順番に乗っている状態ですが、全車両揃ったときは各乗員に固定の車両を当てて、『俺の車』という意識で大事にしてもらいたいですね。僕も戦車部隊の小隊長だったときの車番は今でも覚えています。この1年、隊員たちを見てきて大きな成長を感じます。最初は動かし方もわからなかった隊員たちがこうして小隊戦闘射撃までできるようになって、感無量です。ただし練度としてはまだまだだと思っているので、これからより早く、より当たるように、そして3即機連に貢献できる部隊に成長していきたいです」
最後に、山﨑潤3連隊長から。
「われわれは改編のためにさまざまな準備をしてきました。改編後に言い訳は許されません。与えられた任務はかならず完遂できるよう、また、第3即応機動連隊として期待に応え続けられるよう、現在も、改編後も鍛錬します。改編は終わりではなく始まりだと思っています」
(おわり)
(わたなべ・ようこ)
(令和四年(西暦2022年)8月4日配信)