第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(17)

ごあいさつ

こんばんは。渡邉陽子です。
現在連載中の第3普通科連隊から第3即応機動連隊改編に向けた訓練等ですが、先日驚愕することがありました。なんと3即機連から大きな額に入った感謝状と立派な盾が届いたのです。
感謝状には「貴殿は平素から国防の重要性を認識され陸上自衛隊に対する深いご理解のもと(中略)第3普通科連隊の活動を豊富な取材経験と卓越した撮影技術をもって広く刊行・情報発信していただき陸上自衛隊の後方に尽力されました」「熱意あふれる密着した取材による迫力のある映像・写真と緻密かつ明瞭な著述によって編集された各種月刊誌等のメディアを通じ第3即応機動連隊の隊員が真に活躍する姿を国内へ広く発信して国民への陸上自衛隊に対する理解と信頼を深める等防衛基盤の育成に貢献されました」とありました。
この感謝状と盾が自宅に届く2日前、私は北海道に取材に行っていて、3即機連隊長にもお会いしています。連隊長の性格からして、おそらく感謝状の文面はご本人が書かれたと思われます。そんなことはおくびにも出さず笑顔で取材対応されていたことを思い出すと、ありがたいやらありがたいやら(笑)、とにかく感謝しかありません。
全国に約50ある連隊のひとつからいただいた、といえばそれまでですが、「広報に貢献した」と言っていただけるのは私がどれほど赤字取材になろうが自衛隊取材を続ける意義を認めていただけたようで、本当にうれしいできごとでした。

第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(17)

陸自第3普通科連隊の令和3年度第2次MCV射撃訓練の続きです。
射撃初日の初度射撃は、全車両とも最初の1発目は全員下車して車外からリモートでTP(演習弾)を射撃します。これは昨年秋の初度射撃と同じ要領ですね。
隊員たちは寝泊りしている廠舎でまだ夜明け前の5時半に朝礼を行ない、6時過ぎには射場に到着、作業を始めています。
気温はマイナス7度。最北の部隊といえども、全国の戦車部隊から異動してきた準備隊の隊員は、この寒さと雪深さにまだ慣れていないかもしれません。
射撃前の安全教育時、齋藤準備隊長は隊員たちへ「不具合があるとすれば今日の初度射撃だ。器材の不具合はしょうがない。それに一つひとつ対処していけばいい。ただその段階で、○○の取り付け方がわからないだの、○○が見当たらないだの言っているようでは今までなにをしていたんだという話になる。今日がいちばん危ないという認識をもってやれ」。
射場にはMCV4両が同時に走行できるようA~Dレーンが構成されおり、1両ごとに実施する初度射撃ではBレーンを使用しました。
射撃前に初速測定器や車両の点検、発射ケーブル器の取り付け、コードの締まりなどの確実な確認、また射撃前の座席調整およびモニタ調整を実施。射撃用意終了後に乗員が下車、TPを車外より射撃しました(車長の射撃統制は携帯無線で実施)。
じ後乗車し、砲党内の異常の有無を確認した後、車内においてHEAT(成形炸薬弾)を射撃しました。
1発ごとに後座長の点検とオイル漏れの点検を実施し、弾着は僚車観測で報告。この要領で残りのMCVの初度射撃も行なわれました。確実な器材操作だけでなく、復命復唱や適切な環境射元の入力といった基本動作、装填手の安全姿勢なども指導内容に含まれます。
この初度射撃では、バッテリーが上がってしまう現象が発生しました。普段の訓練では起きないことが競技会などここぞというときに限って起きるのは「演習場あるある」だそうで、機甲科隊員いわく「演習場には魔物がいる」。
また、レーダーの故障も発生しましたが、これは射撃の衝撃などで生じる故障のため、事前に察知するのは困難です。齋藤準備隊長の言葉どおり、初度射撃ではこのように不具合が発生しますが、この段階でむしろまとめて不具合が出てくれたほうが、早い段階で対処できます。実際、この日の午後に行なわれた午後0点規制射撃、小隊検閲射撃予習は順調に実施されました。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
(令和四年(西暦2022年)7月28日配信)