第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(7)
先週は第3普通科連隊長山﨑1佐のコメントをご紹介しました。今回は3連隊のMCV中隊準備隊長にインタビューを行なった際の記事をご紹介します。
MCV中隊は2022年3月までMCV中隊準備隊として名寄駐屯地で準備を進めています。
準備隊長の齋藤進之佑3佐は、74式戦車が装備されていた第6戦車大隊を経て富士学校でMCVに携わった後、準備隊長として名寄にやって来ました。2022年春、MCV中隊の初代中隊長となります。
「名寄は初めてだったので、来る前に3連隊出身の先輩にどういう部隊ですかと聞いたら『戦技が強い。そして冬はすごく寒く、スキーも一生懸命やる部隊』と言われました。実際に来た印象としては、連隊がすごくまとまっていると思いました。入魂式もさまざまな部隊の協力があり、立派な形で開催していただきました。また、戦力訓練展示の計画は信頼して一任してくださるなど、懐の深さも感じました」
「準備隊は基本的に第2戦車連隊から異動してきた隊員を中心に構成されていますが、全国各地から異動してきた隊員も10数名います。教育は名寄で実施しており、誰も使い方がわからなかったMCVという新しい装備品について、砲の動かし方、操縦の仕方などをひとつずつ学んでどんどん上達していく姿を見るのはうれしく、やりがいを感じます。入魂式会場にMCVを運んできた操縦手も先日集合訓練に行った隊員で、今回はすごく上手に扱えるようになっていました」
「私が乗っていた74式戦車と比べると、MCVは射撃の機能もかなり高度化されている分操作も難しく、すべてがネットワーク化されているので74式とはほとんど別物です。また、北海道は装填手のいない90式と10式戦車で育った隊員が多いですが、MCVには装填手がいます。一方、全国各地から来た隊員は74式経験者なので、彼らの力を使って装填手を育てています」
コロナ禍ゆえ、部隊全員で集まって交流を図るのが難しい現在、全国から集まった隊員たちをまとめるのは容易ではないでしょう。そこで、携帯で共有グループを作成し、隊員たちは休日にあったことなどを思い思いに書き込むようにしているとのこと。齋藤3佐が休日に稚内までツーリングしたことを書き込んだときは、翌日バイク好きの隊員が話しかけてきて盛り上がったそうです。
どのようなMCV中隊を目指すかも聞きました。
「2点あります。ひとつは目的を明確にしてそれを達成できる部隊にしたいということ。MCV部隊にはいろいろな任務が与えられることが想定されますが、自分のやることばかりに目がいって連隊全体を見渡せないと、MCVの戦闘力を十分に使いきれないでしょう。2師団あるいは即機連がなにを達成したいのかにフォーカスできるような部隊になりたいと考えています。もうひとつは、われわれは機甲科なのでそこはプライドを持ち、機甲科の『機甲斯くあるべし』を実践できる部隊にしていきたいということです。『機甲科感』は失わず大事にしていきたいですし、おそらく連隊長もそれを期待されていると思います。各職種がそれぞれのカラーを持ったうえでがっちりまとまれば精強な部隊になるでしょうし、戦力化に全力を尽くすとともに北方の即機連の中でいちばんのMCV中隊になれば、今お世話になっている3連隊への最大の恩返しになると思います」
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
(令和四年(西暦2022年)4月28日配信)