戦車射撃競技会(6)
4年前に取材した第7後方支援連隊第2整備大隊第3戦車直接支援中隊(以下3DS)の練度確認のお話の続きです。
この練度確認には中隊に所属する隊員の半分以上が参加。参加しない隊員は戦車射撃競技会のサポートに専念しており、参加している隊員は練度確認が終了次第、競技会の態勢に移行することになります。忙しいですね!
なお、第7後方支援連隊第2整備大隊には3DSのほか、第71戦車連隊を支援する第1戦車直接支援中隊(1DS)が北千歳駐屯地に、第72戦車連隊を支援する第2戦車直接支援中隊(2DS)が北恵庭駐屯地に所在しています。
10月14日13時から、南恵庭駐屯地の3DS工場地区で隊容検査及び訓練準備完了報告式が実施されました。本来は屋外で行われる予定でしたが雨天のため、完成したばかりの3DS工場内に会場を移しての実施です。
隊容検査では隊員が任務をしっかり理解しているか、示された物をすべて携行しているか等を確認します。何名かを抽出すれば部隊で徹底されているかわかるということで、この日は各列最後尾の隊員が背嚢から携行品を提示、点検を受けました。すべて防水のためビニールに入れられているのですが、これは雨天だからというわけではなく、天候に関わらず徹底されています。
整列している隊員の間を巡り、安全管理上の注意点等を適宜質問しているのは、今回の練度確認を評価する補助官です。隊容検査を受けていた中隊本部の訓練陸曹は、これから先行班として集結地の安全化を図り、主力を迎えるための準備をするそうです。状況中は敵を常に意識して暴露しないよう行動することを心がける、とのこと。
人員に続き車両の点検も行なわれ、遮光、チェーンの脱着、バラキューダ、積載品などがチェックされました。示された積載品が正しく積載されているか一目でわかるよう、すべての車両に積載表が貼られています。
車両点検が終わると再び工場内に戻り、ガスの状況を現示した後に統裁官である第2整備大隊長の2等陸佐が訓示を述べました。
・73連隊がフル化になって以来、3DSも来年度の戦力化完成に向けて逐次練度を向上させてきたこと
・その年度の途中において練度を確認することで新たな目標を発見し、次年度の戦力化完成に向けてさらに練度を向上させるという重要な位置付けがある訓練であること
・第一線基準で行動してもらいたいこと
などが隊員へ示されました。
つまり73連隊が平成27年度を戦力化完成時期に設定しているということは、そこを直接支援している3DSも平成26年度は練成に練成を重ねる1年であり、27年を戦力発揮の体制と見積もっているということです。だからこそ年度のほぼ半ば、しかも戦車射撃競技会の時期にあえて練度確認を重ねてきたと言えるでしょう。
隊容検査ならびに編成完結報告が終了すると、状況開始に関する統裁官命令第1号が伝達され、3DS中隊長に戦闘団前進命令が下達されました。
先行班が車両に乗り込み、演習場へ向かっていきます。
演習場では索敵後に集結地を設け、施設の開設位置を決め、施設を設置しつつ主力の誘導準備を進めます。そしてその場所に整備所を立ち上げ、戦闘で故障した車両はここで修理されて第一線に戻されます。
また、日没後に主力が到着した際は誘導員を出して車両を誘導します。
さまざまな任務をこなさなければならない先行班にどの隊員を組み込むか、その役割分担は小隊長が決めます。経験豊富な隊員を先発させることもあれば、経験の浅い陸士に学ばせるため先行班に入れることもあるそう。ただ先行班に隊員を投入しすぎると主力の警戒に不安が生じるため、そのさじ加減が難しいそうです。さらに先行班にどの程度の人員を割くかは中隊長が判断します。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
(平成30年(西暦2018年)12月27日配信)