自衛太鼓@音楽まつり(2)
多数ある太鼓チームから音楽まつりに参加できるのは、わずか12。全体の太鼓指導を行なう山城陸曹長(取材当時)の所属する北海自衛太鼓は、取材時、37回連続出場となっていました(昨年までも連続して出場中)。
北海自衛太鼓は自衛太鼓の総本山ともいえるチーム。山城さんは一昨年定年退職されましたが、全体の指導役は同じ北海自衛太鼓のメンバーが引き継ぎました。
一方、この年の初出場となるフレッシュチームは精鋭部隊として名高い西部方面普通科連隊の西海島守太鼓、空自を代表して参加する入間修武太鼓の2チームでした。
西海島守太鼓のチームリーダーである准陸尉は、2002年の西普連発足時、「マイ太鼓」とともに相浦駐屯地へやってきたそうです。以来、西海島守太鼓で音楽まつりに出場することが、チームの目標だったとか。
「われわれの特徴は、『かつぎ』という横太鼓があることやが入ること。九州ならではの色がよく出ていると思います」。
実は准尉の息子さんも西海島守太鼓のメンバーだそう。今回は参加していないとのことでしたが、いずれは親子共演もありえるかもしれません……と当時の記事には書きましたが、これ以降、西海島守太鼓の音楽まつり参加はなかなか実現しません。陸上総隊創設にかかる部隊改編を控え、これまで以上に部隊全体が多忙を極めていることは容易に想像できます。
唯一の女性太鼓チーム、八戸華炎太鼓はピンクの半被がトレードマーク。海上自衛隊の代表として、取材当時は自衛太鼓の常連でした。チームリーダーの3等海曹は、「私より太鼓歴が長い士長もいますが、チームワークがよく助かっています。合同の演奏ではほかのチームの足を引っ張ることないよう、同時に女性だけの唯一のチームとして印象に残る演奏ができるよう、本番までにさらに練度を上げたいです」。
ここ数年、音楽まつりで八戸華炎太鼓を見かけなくなったのは、「女性チームを入れて華やかにしよう」という演出がなくても、太鼓の響きだけで観客は感動できるのだという考えが、もしかしたら浸透したのかもしれませんね。
航空自衛隊の代表である入間修武太鼓は、ふたりの3曹が中心となってチームの技術向上に努めてきました。
「チームごとの単独演奏で、われわれが演奏するのは秩父屋台。北海流(北海道登別温泉の北海太鼓の創始者に手ほどきをうけた、太鼓を地べたにおいて演奏するスタイルの流派)が続く中では音色も打ち方も異なるので、見る方に楽しんでいただきたいですね」。
実際、太鼓を地に直接置くことで震動がより伝わる北海流の中で、仰向けになり太鼓を足に挟むような姿勢で打ち鳴らす秩父屋台囃子は印象深いものがあります。
音楽まつりに参加する自衛太鼓チームは陸自の北海流ばかり。完全アウェーの中で、空自は毎年マイウェイを貫いていて、その染まらないっぷりがむしろ爽快です。「さすがだね、自衛隊の三男坊!」とエールを送りたくなります(笑)。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
(平成29年(西暦2017年)7月27日配信)