「ひゅうが」型護衛艦運用史(5)
「ひゅうが」型護衛艦の2番艦として2011年3月16日日に就航し、第4護衛隊群第4護衛隊に編入、呉に配備された「いせ」は2017年3月22日、「いずも」型護衛艦2番艦「かが」就役による編成替えにより、(「かが」は呉に配備)、第2護衛隊群第2護衛隊に編入、呉から佐世保に転籍しました。
同年9月には空母「ロナルド・レーガン」など米海軍との、僚艦「あけぼの」「さざなみ」と約1週間ごとに交代する日米共同巡航訓練を実施、さらに11月には日本海で護衛艦「いなづま」「まきなみ」とともに日米共同の各種戦術訓練を行ないました。
2018年3月にも米海軍空母「カール・ビンソン」ほか艦艇数隻と日米共同巡航訓練を実施。海自隊員4人が連絡幹部として「カール・ビンソン」に乗り組み各種戦術訓練を行ないました。
同年6月には護衛艦「ふゆづき」「すずなみ」および搭載航空機5機などとともに日米印共同訓練「マラバール2018」に参加。グアム島沖の太平洋上において対空戦、対水上戦、対潜戦、捜索救助、医療避難などの訓練を実施後、「リンパック2018」に参加しました。「マラバール」から直接「リムパック」へ参加という流れは、2016年の「ひゅうが」と同じですね。
12月1日、鹿児島県屋久島の南方を航行中のイージス艦「こんごう」から転落し行方不明になっていた海曹を「いせ」の乗員が発見、救助したという出来事もありました。護衛艦から大海原に転落して護衛艦に見つけてもらえるなど、どれほど強運の持ち主なんでしょう。助かって本当によかったです!
2019年6月から8月にかけては豪州における米軍との実動訓練「タリスマン・セイバー19」に輸送艦「くにさき」や陸自水陸機動団、第1ヘリコプター団と参加し、統合および日米共同による指揮幕僚活動、着上陸、陸上戦闘および共同巡航訓練を実施しました。タリスマン・セイバーとは2005年から始まった隔年で実施されている米豪軍事演習で、海自の参加は今回が初となりました。
2020年7月から9月にかけては護衛艦「あしがら」とともに令和2年度米国派遣訓練に参加。米海軍の協力を得て洋上訓練を実施した後、引き続き「リムパック2020」に参加しました。
9月には日米豪韓共同訓練「パシフィック・ヴァンガード20」を実施、米海軍、豪海軍および韓国海軍との連携強化を図りました。コロナ禍真っ只中での長期訓練は数々の制約や苦労、ストレスがあったことでしょう。
2021年3月には関東南方からグアム北方において、護衛艦「はるさめ」、「しらぬい」とともに米海軍駆逐艦「ジョン・S・マケイン」、「ベンフォールド」と日米共同訓練を実施。5月には仏軍の練習艦隊「ジャンヌ・ダルク」が佐世保に寄港する機会を捉え、日米豪仏共同訓練「ARC21」を実施しました。海自は「いせ」のほか護衛艦「あしがら」「あさひ」「こんごう」、輸送艦「おおすみ」、ミサイル艇「おおたか」「しらたか」、哨戒機、潜水艦が参加。訓練の一部は陸自の水陸機動団および西部方面航空隊所属CH-47JA、AH-64、さらに空自の西部航空方面隊所属のF-2と協同して行なわれました。その後、続けて米海軍の空母「ロナルド・レーガン」、駆逐艦「シャイロー」、補給艦「ペコス」とともに沖縄東方で共同訓練を実施しています。いやはや、自衛艦隊隷下の護衛艦のこの忙しさ……