「いずも」型護衛艦運用史(4)
いずも型護衛艦「かが」の運用史、今週が最終回となります。
改めて「かが」の諸元をご紹介すると、基準排水量1万9500トン、全長248m。ヘリコプターを複数同時運用可能な海上自衛隊最大の戦闘艦艇です。
2020年9月17日、ニューカレドニア駐留の仏軍哨戒機と南太平洋で日仏共同訓練「オグリ・ヴェルニー」を実施、翌日には豪州北方海域で豪海軍の哨戒艇と、24日には独海軍のフリゲートと日独共同訓練、29日には日米共同訓練を行ないました。
10月にも日スリランカ共同訓練「JA-LAN EX」、日印共同訓練「JIMEX」、さらにインド洋のベンガル湾で実施された日米印豪共同訓練「マラバール2021」フェーズ2に参加、対潜戦、対水上射撃、洋上補給など各種訓練を実施。
さらに15~18日にはベンガル湾での日米豪英共同訓練で、英空母「クリーン・エリザベス」などと対抗戦、防空戦、対水上射撃、洋上補給などを行ないました。一度海出ると、ほんとなかなか帰ってきませんね。本人も家族も大変だと思います。
さて、怒涛の訓練に次ぐ訓練から一転、「かが」は大規模定期検査のため2021年末からドック入り、続いて2022年3月末からはJMU(ジャパンマリンユナイテッド)呉事業所のドックに入渠しました。これはF-35B戦闘機が安全に発着艦できるよう滑走距離を確保し乱気流を抑えるため、艦首が先細く台形だった飛行甲板の形状を長方形にするという軽空母化改修のためです。
政府は2018年末、いずも型護衛艦の甲板で戦闘機を運用できるよう改修する空母化を決め、その後、短距離で離陸し垂直着陸できる戦闘機、F-35Bの導入も決定しました。F35-Bは2024年度以降配備される予定です。
この改修では艦首形状の変更だけでなく着艦時に備えて甲板の一部の区画の耐熱が強化され、発艦の際の目印となる標識の塗り変えなどを実施。艦首付近が米海軍のアメリカ級強襲揚陸艦に似た外観となりました。
今年4月にちょっとだけ軽空母化した姿を見せましたがあくまでごく一時的なことにすぎず、2023年10月に艦名と艦番号の筆入れが行なわれ、約1年半にわたった改修が完了しました。海上公試を行なってから正式に母港の呉に帰還したのは今年11月17日です。
ウェブサイト「乗りものニュース」によれば、「かが」が呉基地に入港すると、軍港クルーズ船を運行する「呉湾艦船めぐり」や海軍グルメを提供していることで知られる「クレイトンベイホテル」もSNSで反応。X(Twitter)で「かが」が入港する様子を紹介したそうです。
なお、1番艦のいずもは耐熱強化や標識の塗装などの第1次改修をすでに終えており、来年度の2024年度以降、「かが」のように艦首の形状を変えるなどの第2次改修に入る予定です。
(「いずも」型護衛艦運用史 おわり)