逆説・北朝鮮に学ぼう ヘタレの日本に明日はない

この本は
「北朝鮮に学ぼう」というショッキングなタイトルを見て、あなたはどう思われるでしょうか?

本レビューを書くに当たって、地元の書店へ反応チェックに向かいました。
陳列されている棚周辺でそれとなく見ていたところ、大変興味深いケース
に遭遇しました。 金髪の若い兄ちゃん(A)「これなんや?『北朝鮮に学ぶ』?」
彼女と思しき女の子(B)「変わった題名やね」 A:「北朝鮮に何を学ぶんや?ひとさらいの方法か?核の作り方か?気分悪いわ」
B:「ごちゃごちゃ言う前に、いっぺん中身見てみたらどうなん?」 A:「ヘタレって書いてあるで(笑)」
B:「ほんまやね(笑)」 その後まえがきを眺めていたこのお兄ちゃんは、「おもろそうやから買うわ」
といって、上から二冊目にあったキレイな本を抜き出し、彼女と一緒にレジ
にいきました。
■刺激的な題名 「逆説」と頭についてはいるのですが、「北朝鮮に学ぶ」という題名はかなり刺
激的でしょう。副題も非常に刺激的です。これだけで反発する人もいらっしゃ
るかもしれません。 しかし、本著を読了した今感じるのは、 ・著者の該博な軍事素養そして愛国の魂に裏打ちされた、一般国民向けの
国防・国際社会を理解するための見事な啓発書となっている。 ・読みやすい有機的な内容で、前提知識をたくさんもたない庶民でも理解できる
内容である。 ということです。
■兵頭さん 著者の兵頭二十八さんは単行本や雑誌のコラムでも高名な「軍学者」です。 わが陸自に入隊し満期除隊後、東工大等で学ばれ、現在は「軍学者」
として身を立てられています。 兵頭さんの名前を拝見するたび思い出すことがあります。 「防衛研究所図書室にあるすべての本を読破された」 という伝説です。 はじめてこの話を聞いたとき、
言論の世界で身を立てるためには、この程度のことは必要最低限・あったりまえ
のことなんだろうか。プロというのは恐ろしいものだ・・・と、誠に慄然とした
ものです。
あわせて、以前もお伝えしたことがありますが、 「軍学者」という肩書きに、心から共感しています。 軍事というのは総合的な体系をもつ知識形態です。
ですから、「兵器のみ」「作戦のみ」「統帥のみ」「兵站のみ」「法律のみ」
といった専門分野の(言い方は悪いですがたこつぼ型の)知見のみでは、とて
も把握できないと思うんですよ。 江戸時代までわが国には、この分野を司る「兵学」という分野がありました。
兵学者は、政治から軍備、経済、兵器、修身、戦略、戦術、兵站等にいたるまで
一貫した知識体系を身に付けていました。 しかし今、こういう知的遺産がせっかくあるのに、総合的に武を扱う知識体系
が見当たらないように思えます。 これは私の勝手な想像ですが、
もしかしたら軍学者を名乗っておられる兵頭さんは、
「現代に『総合的な武の知識体系』(兵学)を復活させたい」
という気持をお持ちなのではないでしょうか? 兵頭さんの活発な言論活動には、とても啓発されています。
今後も末永いご活躍を期待するばかりです。
■二つの柱 私は本著の目玉として、以下の二つを挙げたいと思います。 1.米の意志を正確に読み解く上で必須といえる『核兵器と外交政策』
 (キッシンジャー三十四歳のときの著作)の発掘
1.「Showing the flag」への曲解が、亡国への道を加速させているとの指摘 この二つの柱を核心に、兵頭さんは、北鮮がいかに国際社会で生き残ってきたか、
そして、わが国がどういう形でアメリカの信頼を失い、また、亡国への道をひたすら
歩んでいるかを読み解きます。 最も重要な指摘だと感じるのは、
北鮮がこれまで行なってきた「ミサイル発射」「核実験」などは、米に対する
外交活動であり、「北鮮には、東アジアにおけるイスラエルの役割を果たす
意志がある」と米に正確に伝えることが目的だった。
という点です。
わが真の脅威は北鮮などではありません。
あくまでシナです。国防の重心はシナに向けなければなりません。 そのことを改めて理解させてくれます。
■ヘタレに生きる資格はない 副題も見事だと思いますよ。 「ヘタレの日本に明日はない」 ほんとそうですよね。
面白おかしくいろいろなヘタレ振りが描かれています。 小沢という人の本質的なヘタレさはあなたもお感じになっていることでしょうが、
昨年の選挙でそういう人を選挙で支持した有権者のヘタレさも、米の愛想尽かし
という結果を導いたのではないでしょうか? この点は見落とされがちですが、本著ではしっかり触れられています。
北鮮には、独力で国際社会で生き抜くんだという強固な意志と根性があります。
この面でヘタレさなど微塵もありません。
敵ながら天晴れです。 北鮮によく似ているのがイスラエルという国です。
ここも己の力しか信じていない国ですね。 そんなイスラエルでさえ、米との関係を維持するために軍を派遣したりして義理
をきっちり果たしています。情報機関トップの著書を紹介した折、「米を怒らせ
ることは絶対にあってはならない」という言葉をお伝えしましたよね。
イスラエルのような不敵な国でさえ、恩知らず扱いされないよう細心の注意を
払っています。 このしぶとさ、したたかさ、義理人情への感覚こそが
「国際社会という無法地帯」
で生き抜くための必須の条件だと思うのですが、あなたはどうお感じになるで
しょうか? 国際社会は無法地帯です。
仲間と一緒に戦闘に参加しないようなヘタレで義理人情なきものに、生きる余
地が与えられるはずもない、とお感じにはなりませんか?
■わが国はどういう手を打てばよいか?
おそらく米鮮関係は正常化へと進むことでしょう。
これから先、北鮮が米の意向に反することをしでかすとは考えにくいです。 米はシナけん制のためのツールとして北鮮とより緊密になってゆくように感じ
ます。このままでは、わが国の存在価値は今後低下する一方になるのではない
でしょうか? 本著を読んで、今後わが国はどういう手を打てばよいか?を学びましょうよ。
ヒントは山のように書いてありますよ。 日米同盟を堅持するために現憲法を替える必要があり、わが自衛隊を国軍と] ]>

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