強い奴には強く、弱い奴には弱い (組織の虚実・基礎編)

先ず、お知らせです!
孫子塾・塾長 佐野寿龍先生によるサイト『孫子に学ぶ脳力開発と情勢判断の方法』
の中にある「孫子時評」のところをクリックしてそこの記事(幾つかのバックナ
ンバーも含めて!)をお読みになってみてください。
このテーマは、戦略、情報、兵法と興味のある方にはなかなか問題化して・・・解決
するには難い!本当に苦しいテーマである「獅子身中の虫」について興味深い解説がな
されているのです。

これは、今回のコラムのテーマとも連環していますし、あなたが混迷する日本の行く
末を弁えるにはとても良い刺激剤となるでありましょう。
また、日本の地政学、日本の軍事史を通じて日本の「今」と日本の「己」を知る一冊
が書店にあります!兵頭二十八著『大日本国防史
』(並木書房 定価2,520
円)です。
昨今の日本の混乱(社会も経済も防衛も・・・)の元凶は、”日本の地政学と軍事
史”を正しく知り、その対応と応用を怠ってきたツケの支払いでもあります。本書を一
読し、日本の本質を正しく認識して、然るべき方向へ我らの日本を導くことこそ我々
現代日本人(=戦後民主主義の選挙制度で権利を有している者)の歴史的義務でありま
しょう。
そこで・・・政権交替や政治制度の相応しい変革が落ち着いて考えられ実行もできる
ようになるのであります。
21世紀の国際社会における日本人なら・・・正しき天皇観を持たねばならない・・
・マスコミやヘンテコリンな左翼系イデオロギーの洗脳やマルクス史観から洗浄され
て・・・正しく持つためには・・・『大日本国防史
』の重要な内容でもあります。
上記二つの案内について、どちらにも共通して言えることですが・・・
それぞれ文章や表現や言葉づかいを読んで知識止まり(受験勉強タイプや「いつでも
安全パイにいる能書きへタレ」ではなく)のものではなくて、知恵に繋げる(実際に応
用して使ってやろうと気構え)ことを心の基礎に置くと・・・”行間”からは、いくら
でも宝物が汲み出せるものがあり、本当に楽しくなって来ます。
では、今回のテーマについて始めましょう。
古より、「強きを挫き、弱きを助ける」これが”侠気”(おとこぎ)というものであ
ります。人の生き様には何かの美学がなければなりません。が、最後の死に様はどうあ
れ、一つの美学を構築するのが侠気なのであります。
みんなが好きな言葉に”サムライ”がありますが、そこには”美しいものがある”か
ら好きになるのであります。汚きものには、侮蔑に続いて憎しみや怒りがこみ上げて
来るものです。
が・・・戦後の日本で一般に幅を利かせているのが「弱い奴には強く、強い奴には
弱い」というおよそ日本古来にはあまり見られなかった・・・どうみてもどこか別のと
ころで通用していた流儀というか思想風潮であります。
そもそも・・・「弱い奴には強く、強い奴には弱い」のは、所謂、”畜生”の世界が
そうなっています。猛々しく吠え叫ぶ犬には実際に問答無用、手段を選ばず命に訴える
ことを意図して接するとおとなしくなって行くように・・・畜生レベルでは何の不思議
でもありません。
しかし、犬のことを人がやると品性が無いものとなり・・・「そんなことするんだっ
たら、じゃ~こっちから何をされても文句は言うんじゃねーぞ!」といった”リアク
ション”が発生もしてくる訳であります。
清々しき”宮”には、清水が湧き出て、そこには美しい泉があり、みんなはその清水
を飲んでいました。が、”一回戦争に負けた後”では、訳の分からない汚きものが混じ
り込んでみんなが口を付けることもできなくなった・・・しかし、その泉水の浄化は
可能なのであります。
ところで、一般的には・・・弱い奴には強いことを勘違いしてしまうのが、「その
備え無きを攻める」という”兵法”でいう詭道のテーマであり、最初から弱い奴を相手
に分かりきった不意打ちをしたり、立場を利用してのパワー・ハラスメントじみたこと
は一つも指摘していませんのでご注意ください。(特に、「勝ち易きに勝つ」と
か・・・「弱きに強く」と勘違いし易いものです。)
以上のようなことを弁えると・・・そこには品格という言葉が現れてくるものであり
ますが、この品格の中には大変難しいテーマが潜んでいるのであります。
それは・・・品格を自認するが故に・・・結構、外的には非の打ち所のない強者で
あっても、いざ、それが組織において、特に”身内”に対しては、まさに弱者となって
しまっていることがとても多い・・・のであります。
およそ自主的意志の一致から調和している組織ならば・・・意外と問題にはならない
ことでありましょう。が、自らが掲げる目標に向かって一致団結を求めたり・・・対抗
する組織に対して”一枚岩”の・・・まさに大盤石の備えを約束することを要求したり
するのは、組織や団体という社会構造を有する”人為的なものの本質”でもあります。
そこに唱われるのは、”愛”、”調和”、”協力”、”信頼”、”絆”、”結束”、
“連帯”・・・さらには”奉仕”、”殉”などの言葉や概念であります。
このような条件の中で、最も注意しなければならない管理運営上のポイントは・・・
それは、同じ味方組織の中に起こる問題であります。
家族などの組織では、モロに伴侶であったり血縁者であったりする訳ですが、疑似家
族を好みやすい日本的会社組織や各種団体(ボランティアも含めて)においては、まさ
に役職に就いている者の立場と条件から「自然の流れとは異なる人為的無理=余計なこ
と」をしたりするものです。
また、組織と言えば、あなたも含めてみんな・・・同じ「国家」に属している訳で、
同じ組織に属するので「国民」でもあります。が、この国家の中では同じ組織で”味
方”ということから・・・選挙で選んだ政治家とか試験システムを通じた官僚と
か・・・知事とか大小の自治体の議員、そこの公務員とか・・・「同じ組織じゃ~ない
ですかっ!」ということで、そこからの「悪ノリ」は少なからず指摘可能でありましょ
う。
ここで、問題なのが・・・同じ組織に属している者同士なので・・・外部(=敵や対
抗勢力・団体・組織)ではないんだから・・・「強く出れない」ということでありま
す。
いくら対外的に強くても・・・腕も立つし、弁も立つ、知恵も回るし、度胸もあ
る・・・しかし・・・兵頭二十八氏が『大日本国防史』の114頁で指摘しているよう
に「英雄に唯一不可能なのが、女房を教育することなのである」の通り、家族内での伴
侶、それに血縁者には「完璧に」対抗できないものがあります。
また、外部勢力に対立、対抗などしている際の組織内では、特に、上司、上長、年功
系、縁故系など、「客観性や思い切りは外には自然にできるのに、内側にはできない」
という悩みがあります。これが所謂、内弁慶を製造する元凶なのでもあります。
あなたは、一度、自分の立場と条件を見直して自己点検してみてください。そして、
約10日間ぐらい「強い時、弱い時」を認識してみてください。無意識から意識へ転じ
るのです!
次回に、この兵法から見た組織管理の面白い話しの続きを応用編として展開いたしま
すので、御期待ください!