イラク多国籍軍団

2019年2月6日

イラク多国籍軍団
1.任務
イラク多国籍軍団(MNC-I)はイラク多国籍軍(MNF-I)隷下で、イラク全土にお
ける作戦の指揮統制に責任を持つ戦術単位である。
イラク全土を六つの主責任地域に分け、二十六カ国が拠出する部隊で編成され
ている。司令部はバグダッドにある米陸軍ビクトリー駐屯地に置かれている。
2.イラク多国籍軍団の統率
軍団長の下、副軍団長が三名いる。
■軍団長(兼ねる十八空挺軍団長、ブラッグ駐屯地司令)
Lloyd J Austin中将(米陸軍)
<略歴>
一九八九年、八十二空挺師団五〇五パラシュート歩兵連隊三大隊長としてパナ
マ侵攻作戦に参加。
二〇〇一年から二〇〇三年にかけて三機械化歩兵師団副師団長(機動作戦担当)
としてイラクの自由作戦に参加。
二〇〇三年から二〇〇五年にかけて、一〇軽山岳師団長、一八〇統連合任務部
隊(*)指揮官として不朽の自由作戦(アフガン)に参加。
二〇〇五年九月から二〇〇六年一〇月にかけて米中央集団参謀長。
二〇〇六年十二月以降、十八空挺軍団長(在 ブラッグ駐屯地)。
(*)一八〇統連合任務部隊
二〇〇二年にOEF前方司令部としてアフガンで編成。(指揮官は中将)
二〇〇四年半ばに十山岳師団から二十五軽歩兵師団に指揮転移し、部隊名称が
七十六統連合任務部隊に変わった。アフガン民主化発展の環境作りと、テロ組
織に対抗するための全分野にわたる作戦を指揮する。
一個統合部隊で編成され、米中央集団司令官、国防長官に対しアフガン全土に
おけるすべての軍事作戦の責任を負っている。
その後部隊名は八十二統連合任務部隊(82CJTF 八十二空挺師団)に変わり、
現在は一〇一統連合任務部隊(101CJTF 一〇一空挺師団)となっている。
二〇〇四年四月の段階で統合指揮所には、空軍、海軍、海兵隊、有志連合諸国、
など多数の人員が所在し、二十五軽歩兵師団長のオルソン中将は四月十五日に
暫定的な指揮転移を承けた。当時の部隊は十八カ国あわせて一万三千人の規模
であった。バグラム空軍基地で、種々多様な任務ごとに部隊単位が作成され編
成されたが、それにあたって一〇山岳師団長のオースチン少将と残留部隊が多
大な貢献をしたとされる。一〇山岳師団の公式展開期間は九ヶ月であったが、
その後十一ヶ月現地に止まった。
二〇〇五年一月十日から十七日にかけて、ドイツで演習が行われた(Exercise
Unified Endeavor)が、これは南欧任務部隊(SETAF)を七十六統連合任務部
隊に改編し、アフガンで展開させるための準備が目的であった。
なお、一八〇統連合任務部隊の前身は一八〇統合任務部隊で、十八空挺軍団、
二海兵遠征軍、大西洋艦隊、航空戦術集団が中核であった。この部隊は一九九
四年のハイチ侵攻時に編成されたもので、現地では多国籍軍を引っ張った。
その後国連ハイチ作戦の第一陣として現地で活躍した。
■副軍団長
George J. Flynn少将(米海兵隊)
二〇〇八年二月十四日着任
<略歴>
一九九八年~九九年 海兵隊司令部戦略構想グループ長
二〇〇一年~二〇〇二年 海兵隊司令官軍事秘書官
二〇〇二年~二〇〇四年 教育訓練集団副司令官
二〇〇四年~二〇〇六年 特殊作戦集団参謀長兼指揮支援センター長
■副軍団長(作戦担当)
Michael Ferriter准将(米陸軍)
二〇〇八年二月十四日着任
<略歴>
八十二空挺師団、七十五レインジャー連隊で指揮官を経験している。主なもの
は以下のとおり。五〇四パラシュート歩兵連隊二大隊長、三レインジャー大隊
長、十一歩兵連隊長、八十二空挺師団副師団長。機械化歩兵、軽歩兵、空挺歩
兵、レインジャー部隊での指揮経験がある。ソマリアでの実戦経験もある。
前職は米統合部隊集団(USJFCOM)作戦部副部長として部隊再編最高司令部・統
合部隊集団司令官の高級補佐官を勤め、同司令官の緊要な補佐官としてすべて
の軍事作戦と全兵力の運用・展開に関する助言を行なった。統合部隊の作戦、
後方、展開教義、教育訓練等、統合部隊に関するすべての任務を管轄する。
■副軍団長(兼ねる十八空挺軍団副司令官、ブラッグ駐屯地副司令。連合担当)
Nicolas E. Matern准将(カナダ軍陸上部隊)
二〇〇四年二月十四日着任
<略歴>
カナダ軍人。英陸軍大学卒業。
ボスニア、アフガンで展開経験あり。
カナダ軍特殊作戦集団副司令官。カナダ軍で初めて十八空挺軍団とともに展開
した師団長でもある。
■編成
1.西部方面多国籍軍(Multi-National Force – West)
http://www.imef-fwd.usmc.mil/imef/imef-public.nsf/sites/imeffwd?OpenDocumen
⇒ラマディ、ファルージャを含むイラク西部が責任地域。米海兵遠征軍が指揮
をとっている。
2.バグダッド多国籍師団(Multi-National Division – Baghdad)
⇒「バグダッド任務部隊」の名で知られる部隊。バグダッド市を責任地域とする。
3.中南部方面多国籍師団(Multi-National Division – Central South)
http://www.piomndcs.mil.pl/
⇒カルバラ、クート、ヒーラーを含むイラク中南部を責任地域とする。師団規
模で、指揮はポーランド軍が執っている。
4.北部方面多国籍師団(Multi-National Division – North)
⇒「バンド・オブ・ブラザーズ任務部隊」の名で知られる任務部隊。バラド、
キルクーク、ティクリット、モスル、サマラを含むイラク北部を責任地域とする。
5.南東方面多国籍師団(Multi-National Division – South East)
http://www.mod.uk/DefenceInternet/DefenceNews/InDepth/UkMilitaryOperationsInIraq.htm
⇒バスラ、ナシリア、サマーワ、アマラを含むイラク南東部を責任地域とする。
師団規模で、英軍が指揮を執っている。
6.兵站支援区画 アナコンダ
(Logistical Support Area Anaconda[LSA Anaconda])
https://www.1cc.balad.iraq.centcom.mil/
⇒兵站支援区画アナコンダは、戦域に兵站支援を提供することを任務とする。
参考
イラク多国籍軍
http://www.mnf-iraq.com/
イラク多国籍軍団
http://www.mnci.centcom.mil/
http://www.globalsecurity.org/military/agency/dod/jtf-180.htm
http://okigunnji.com/004/82cjtf82.html