幕僚長から権限を奪う方向へ

防衛省改革会議の中間報告の方向は、統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長、
航空幕僚長から執行権限を奪い、大臣補佐に特化させることにあるようです。
大臣が直接細かい命令を出すそうです。
石破氏は、かつてキューバ危機の際にケネディーが直接に現場の駆逐艦長に指
示を出して顰蹙を買った愚をやろうとしています。
現場の臨場感の無い素人のヒトラーが作戦レベルに余計な口を出して精強なドイ
ツ国防軍が敗戦に追い込まれた愚をやろうとしています。
マニア大臣の趣味道楽も、ここまで来ると国家に害毒です。
大臣には戦術レベルの命令を出す気など「今は」無いでしょうが、制度として自
分で命令を出すことにすれば、やがてはそうなります。些細な失敗に対して面子
を保つ繕い塗りをしようとして結局キズを深くするのです。歴代の独裁者が必ず
落ちた陥穽です。
最高指揮官である首相や大臣は「軍事は外交の延長」の立場から「国家の方針
と所望結果」を示すに止め、用兵レベルのことは用兵者に任せるべきなのです。
どうしても任せられなければ、用兵指揮官を信頼できる者に代えれば良いのです。
「政治の世界で決めねばならぬ(当然結果責任のある)事柄」と、「プロに任せ
てやらせるべき(用兵者の責任に帰する)事柄」の仕分け、これこそが「シビリ
アン・コントロール」の真の意味ではないでしょうか。
(おき軍事情報部)
防衛省改革会議
【080413配信 メールマガジン「軍事情報」より】