軍事組織は、できるだけ簡明な方がよい

(080225配信 メールマガジン「軍事情報」第332号 より)
19日のイージス艦と漁船との衝突事故は、非常に残念な出来事でした。全力
での救出活動と適切な原因究明を希望いたします。

さて、本件に関する石破防衛相への報告が約1時間半後、首相への報告が2時
間後であったことが報道されています。
私は、その主な理由が防衛省の複雑な組織構造にあると思っています。海上自
衛隊の部隊→海幕に報告された情報は、運用上の情報であるので統幕に報告さ
れるとともに、大臣及び総理への通報のため内局にも報告されます。この時点
で、情報が2系統に分かれるので、情報の整合性を図る過程が複雑になるとと
もに、時間を要することになってしまいます。
石破防衛相の組織改革案は、このような弊害を是正するための大胆な案ですが、
これに対して、内局は「文官優位の体制が崩れるから」、各幕は「利権争いに
なりかねないから」等という情けない理由で反対の意向を示している人が多い
のです。彼らには、「今回の事案を踏まえて、防衛省が何のために存在する組
織なのか、もう一度よく考えろ!」と言いたいです。
こういう非常事態に適切な対応がとれないような組織であれば、防衛省など不
要です。「軍事組織は、できるだけ簡明な方がよい」という原則に立ち返るこ
とを熱望します。
(一読者)