戒厳令と非常事態令はどこがどう違うのでしょうか?(その1)
From:製パン居士
戒厳令は、軍が国家の統治機能(一部、又は全て/全国、又はある地域))を
停止(掌握)し、その機能は「戒厳司令官」等が掌握します。
英語の語義どおり、戦時(またはそれに準じた状況)で、憲法が停止されて国
家の機能が軍に委ねられるということ、と理解しています。当然治安維持のみ
ならず、
立法、行政機能は軍が担い、司法機能も軍が掌握します。
ちなみにわが国の戦前における「戒厳令」では↓がありました。
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/kaigennrei.htm
一方、「非常事態令」では国政上の機能は軍に移管されていない状態だと思い
ます。(大雑把に言えば)
たとえば、諸外国の憲法では「非常事態令」や「非常事態宣言」に関する条文
があります。(あくまでも平時における国家統治機能は存続)
ただ、これはあくまで大雑把な区分で、実際に「非常事態」下では、議会の解
散や「その他別に定める」ところによって、軍による統治機能の代替は見られ
る場合も多いです。「事実上の戒厳令」となってる場合は非常に多いと思いま
す。
ただ、元々双方の区別が少ない場合も(言葉の定義として)ある可能性も有り
ます。
例えば、東北大学経済学会の会報『経済学』2004年12月号では、青木國彦氏が
「ポーランド危機と冷戦の終わりの始まり-ヘルシンキ宣言との関連において」
という記事を発表されていますが、そこでは、「戒厳令」について「ポーラン
ド当局は戒厳令(戦時状態宣言,martial law)と非常事態宣言を区別したが,
ソ連側は互換的に用いた[Kr amer ,1 999 ,p.1 2 ]。」
との注釈を付しています。こうなるとやや不可解です。
http://www.econ.tohoku.ac.jp/~aoki/aceGSK/aoki2004b.pdf
実際の例では、クーデター→軍人の政権掌握→戒厳令などにもなりますし。
そもそも軍以外の国家機構で、現役の軍人採用の「割り当て」がある国もあり、
その国家機構の長は現役将官だったりします。
是非とも専門の方々のきちんとした「定義」を知りたいものです。