【第75講】スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その53)

(注:文中の疑問文冒頭にある「?」は正確には「?をさかさまにした文字」です
が、テキスト形式では変換できないため、「?」としています)
前回に引き続いて、関係詞の後半に相当するところを学んで行きましょう!
例文がやはり・・・長くなりますが、とにかく左から右へと順番に単語の意味を取って
行くようにして解読してください。

☆関係詞の種類(次の三種類のみですよ!)
関係詞といっても、次の三種類しか出て来ません。関係代名詞は、先行詞たる名詞の
カテゴリー(性・数・格)と密接に語尾の一致やら組み合わせる定冠詞の一致を行う点
のみ注意してください。関係副詞になると語形の変化はありませんし、関係形容詞は、
先行詞との性・数の語尾の一致(-o,-os,-a,-as)ぐらいしか注意点がありませんので
リラックスして学習してください。
1)関係代名詞
名詞(先行詞)を形容詞節と結び付ける際、”代名詞”の働きをしています。代名詞な
ので・・・要するに”名詞の亜流”なのです。よって、解読の際には名詞のカテゴリー
である性・数・格について、最初は少し手間でしょうが・・・考えると文の構造が
理解=解釈に直結できる良い訓練になります。
特に、”先行詞”について、性・数を関係代名詞のところで確認し、さらに「格」が一
体どのような「格」なのか?(主格か対格か・・・など)を考える癖を付けてくださ
い。
このような「格」についての作業をスキップしていたから・・・関係代名詞というのが
もう一つハッキリしないというかシックリこないところになっていたのです。
先行詞との関係で、”性”・”数”の「語尾の一致」を行うものがあるので注意しま
しょう。
・que(無変化)(英語ではthatに相当します)
・cual(-es:常に左横に先行詞に相当する定冠詞と組み合わせて用います)
(英語ではwhichに相当します)
・cuanto(-tos, -ta, -tas)(文語調。口語ではtodo lo que~:~するところの物は
全て)
・quien(-es人のみ)(英語ではwhoに相当します
2)関係副詞
名詞そのものを形容詞節と結び付ける際に副詞の働きをします。
先行詞が場所(”そこで”で代えられる)を表す名詞、年月日(その時)を表す名詞、
手段・方法・様態を表す名詞になります。
・donde(どこで?といったらそこで)
・cuando(何時?といったらその年・月・日に)
・como(どのような?といったらそのような手段・方法・様態で)
3)関係形容詞
名詞そのものを形容詞節と結び付ける際に形容詞の働きをします。
“cuyo”しかありません。訳す際には、”cuyo”を一旦、”y su”(そして、その先行
詞の~です)に置き換えてから解釈を進めるとうまく解読作業がはかどります。
・cuyo(-os, -a, -as) (誰の?と言えば・・・それの~)
(※ちなみに・・・スペイン語の古語では誰の?を表す疑問詞?Cuyo~?がありまし
た。しかし、現在では、De quien~?に置き換えられています。→迂言法的表現になり
ました。)
☆関係詞と格との関係について
名詞を扱う関係詞は、格の概念が常に存在します。先行詞と形容詞節との関係が:
ア)先行詞が形容詞節の”主語”になっている場合   →   主格
例)Los perros que cazan los conejos seran cocinados despues del trabajo….
兎を狩る犬共ハ、...(cazarするのはlos perrosが・・・です)
兎を狩る犬共は、仕事が済んだら、料理されるだろう。
イ)先行詞が形容詞節の目的語(対格)になっている場合  →  対格(与格も含
む)
例)La pistola que compre ayer es de Alemania.
そのピストル、それヲ、昨日私が買った(comprarの対格目的語がla pistola)
昨日私が買ったピストルは、ドイツ製だ。
主格の場合は、先行詞と形容詞節内の動詞の人称が一致する
対格の場合は、先行詞と形容詞節内の動詞の人称が別々である
という特徴がありますので区別してください。
ウ)先行詞の後で「前置詞と共に用いられる」関係代名詞
que、cual、quienが使用されます。
この場合、格は、主格以外の格が相当しています。(和訳の場合は、ハとかヲ以外で
格助詞を考えましょう)
語順の公式)
先行詞+前置詞+定冠詞+関係代名詞+主語+動詞
→前置詞=形容詞節にある動詞と熟語ペア
→定冠詞=先行詞と性・数が一致した定冠詞になる
例)
Esta es la senorita de la que hablaron ayer.
先行詞の後ろの前置詞は、形容詞節のhablar de~という熟語で捉えてみてください。
hablar de~は、”~について話しをする”でした。
次に、deの後ろのlaは、先行詞の性・数に一致した定冠詞です。
そして、queが続いています。
訳は、慣れるまで、次のような段階で訳し進めるとよいでしょう。
直訳)
こちらは、秘書です、~について その 何かと言ったら、彼らが昨日話した(第一段
階)
こちらは、その女性秘書について、彼らが昨日話した。(第二段階)
和訳:第三段階)
こちらは、昨日、かれらが話題にした女性秘書です。
エ)独立用法
A)定冠詞+que+定形動詞(第三人称、定冠詞の数に合わせる)
~スル人/~スル人たちを表します。
主格にも対格にも使えます:
el que, la que は、quienに・・・
los que , las que は、quienes に・・・置き換えが出来ます。
例)
El que piensa comporta bien. (= Quien piensa comporta bien.)
考える人は、上手に振る舞う。
Espero a los que quieren venir. (= Espero a quienes quieren venir.)
私は、来たい者たちを待ちます。
B)lo que (~さんが・・・すること)
lo+que+定形動詞(第三人称・単数)
~スルコトを表します。主格にも対格にも使えます:
例)
Lo que quiero decir es la verdad.(主格)
私が言いたいことは、真実です。
No entiendo lo que me dices. (対格)
君が私に言っていることを私は理解しません=君の言っていることが分からない。
オ)関係代名詞cuantoについて
文語です。性・数の語尾一致があり、意味の上では「~スル全てのモノ・ヒト、~する
全部」になります。口語ではtodo lo que ~と置き換えられます。
例)
Ellas perdieron cuanto tenian. = Ellas perdieron todo lo que tenian.
彼女たちは持っていたものを全て失った。
Cuantos piensen muy seriamente… (とても真面目に考えるような人達は皆~)
※外に「相関的用法」(cuanto mas+接続法)があり、~すればするほど...の意味に
なります。
例)
Cuanto mas se arrepientas,…   君が後悔すればするほど…
カ)関係形容詞
cuyo(先行詞と性・数一致)を使用し、先行詞のその人・ものの~を意味します。
例)
Un caballero cuyo nombre fue llamado …
(ある紳士、彼の名前は...と呼ばれたが、彼は...)
La secretatia cuyos padres eran militares…
(両親が共に軍人であったその女性秘書は、...)
キ)関係副詞
donde、cuando、comoを使用し、先行詞に場所/時/方法を表す名詞が来ます。
そこのところで~・その時にはという意味になります。
例)
La universidad donde estudiamos … 我々が勉強する大学・・・
La semana cuando fuimos a la playa … 我々が浜へと行った週・・・.
La manera como salvamos … 我々が救う方策…
これで関係詞についての大まかなところは終了しました。
次回は、動詞の活用を一通り終えたから可能な・・・関係詞に続いて、「命令」(依頼
を含む)を習う予定です。お楽しみに!
今日はここまで。
Hasta luego.