【第58講】スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その36)

今回は、秋から準備されている動詞の本格的な各時制を学ぶ前段階として、動詞に
示される時を明確にする副詞について学びましょう。副詞の働きは、単に時を示すだ
けではなく・・・様態、状態、条件、譲歩・・・など幾つかあります。が、今回、
その基本とするところを整理しておきましょう。

1)副詞について
副詞”adverbio”(英語のadverb)とは、”ad-“(傍らに)+”verbio”(動詞)とい
う単語から成り立っており、意味は、「動詞に添える言葉」です。
要するに・・・動作がどのように行われるのか?をより詳しく(情報を増やして)
言うものです。
2)副詞のパターン
副詞は、次の三つのパターンに別れます:
A)形容詞から派生(副詞を作る語尾の添加=接辞化によるもの)
B)前置詞+名詞(副詞句の形式)
C)単語一つの純然たる副詞
A)のパターン
形容詞の語尾次第で次のパターンに下位分類されます。ア)が女性形になるのは、
“-mente”が元々ラテン語で「心」(例→メンタルヘルス、メンタルタフネスの語源
にもみられます)を表す女性名詞であった名残です。「~の心で」という副詞の作り方
をしているのです:
ア)語尾-o型
形容詞(語尾-o)を女性形にして + 副詞語尾(-mente)
例) “alto”
一旦、女性形の語尾である-aにしてから-menteを付けます
“alta”+”-mente”= altamente(高く)
イ)語尾-e型
形容詞(語尾-e)をそのままにして + 副詞語尾-menteをつけます。
例) “verde”
“verde” +”-mente”= verdemente(緑色に)
ウ)語尾-l型
そのまま副詞語尾-menteをつけます.
例) “azul”
“azul”+”-mente”= azulmente(青色に、青く)
注意)一般に国名形容詞は、副詞を派生しません。よって次のような形容詞派生の
副詞は見当たりません:
chinamente coreamente rusamente francesmente italianamente
B)前置詞+名詞のパターン(副詞句)
これは、前置詞と名詞を組み合わせて作る「副詞句」と言われるもので、スペイン語
には多く見られます。(以下、”-mente”をつける形のあるものを例として記してお
きます)
例) con frecuencia = frecuentemente しばしば
por completo = completamente まったく、完全に
en serio = seriamente 真面目に
また、国名形容詞の副詞的な言い回しには次のような表現方法があります:
例) a la frencesa フランス風に、何も言わずに
a la italiana イタリア風に
これは、a la manera francesaという表現の中でmanera(マナー→やり方)が省略され
ているものです。よって国名形容詞は女性形になります。
C)単語一つの純然たる副詞
単語一つで済む純然たる副詞です。
例)siempre いつも despacio ゆっくり
3)副詞の語順
語順は、一般的には、活用している動詞の位置をみて、その前でも後ろでもかまいま
せん。(しかし、強調したければ、前に持ってきて、強く発音することになります。)
ex.
a) Siempre me dices la verdad.
b) Me dices la verdad siempre.
(君は、いつも私に嘘をついている。)
そろそろ日も短くなり、暑い中にも秋になって行く時、疲れが出ないように・・・
積極的に「自己治癒」をやってみてください。
今日はここまで。
Hasta luego.