【第51講】スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その29)

(注:文中の疑問文冒頭にある「?」は正確には「?をさかさまにした文字」です
が、テキスト形式では変換できないため、「?」としています)
今回も”ser”の用法から始めたいと思います。構文は、S+V+Cと同じで、C(補
語)に相当するところが名詞ではなくて形容詞がきた場合どうするのか・・・そ
れを学びます。
次に、”ser”を使う重要表現の一つである「時刻の表現」を学びましょう!

☆補語が形容詞の場合
形容詞は、名詞についての情報を増やす言葉ですが、その名詞に対して、性・数
の「語尾の一致」をしました。
では、「補語が形容詞」になる時にも・・・主語(になるのは名詞です!)の
性・数に合わせて補語の形容詞の語尾を一致させましょう。
ここでは、既習の形容詞(四つのパターンがありましたね)の形態的な注意点=
語尾変化も同時に復習と整理をしつつ進めて行きましょう。あなたは、形容詞の
語尾一致のパターン(以下の4つ)を以下URLで事前に再確認しておいてくださ
い。⇒ http://espania.okigunnji.com/2009/10/3513.html
例-1)Yo soy guapo. / Yo soy guapa. (-o型)
 Nosotros somos guapos. / Nosotras somos guapas.
(guapo 見栄えのよい=イケメンの、べっぴんさんの)
例-2)El libro es verde. / La mesa es verde. (-o以外の母音型)
  Los libros son verdes. / Las mesas son verdes.
 (libro 本 mesa 机・テーブル verde 緑色の)
例-3)Fernando es cruel. / Isabe es cruel. (-l等の子音型)
Ellos son crueles. / Ellas son crueles.
    (cruel 残酷な)
例-4)Soy espanol. / Soy espanola. (国名・地名の形容詞)
 Ellos son espanoles. / Ellas son espanolas.
■ドリル-1■
次の括弧内形容詞の語尾の一致を練習しましょう:
ア)El chico es ( alto, bajo, inteligente, tonto, amable, pobre, rico,
  espanol, aleman, japones ).
(alto 背が高い, bajo 背が低い, inteligente 賢い, tonto 馬鹿な, amable
 親切な, pobre ま貧しい, rico 金持ちの, espanol スペイン人の, aleman
  ドイツ人の, japones 日本人の )
イ)上記の文の主語を複数にして
(ex. Los chicos son altos.)
ウ)上記の文の主語を女性名詞にして
(ex. La chica es alta.)
エ)上記ウ)の文の主語を複数にして
(ex .Las chicas son altas.)
☆時刻の表現
“ser”の学習を重ねて・・・やっと時刻の表現ができるようになりました。
スペイン語での時刻の表現は、英語で言えば、What hour is it?という表現の仕
方をし、timeではなくhourの方を用います。
スペイン語では、”~時です”という場合、「時刻」という言葉”hora”(女性
名詞であることは一目瞭然ですね)を使うので、「1時」という場合、”hora”
を単数で使います。そして、「2時」以降は、当然、複数の考えになるので、
“horas”となります。
そして、”hora”は、通常、女性定冠詞(la, las)で以て、置き換えられ、省略
されて表現されます。
以下に表現を列挙しますので、覚えましょう!
(数詞は、http://espania.okigunnji.com/2009/11/3816.html をご覧下さい)
○?Que hora es? (What time is it? と同じ構成)
 何時ですか。
○?Que hora es ahora?
 今、何時ですか。
○Es la una.
 1時です。
 → hora(“~時”)は 、女性名詞なので女性定冠詞、数詞も女性形。
※「1時です」だけは常に「単数」で表現されますので注意してください。
次に、”2時”以降の表現を覚えましょう:
○Son las dos.
 2時です。
“分”の表現は・・・
○Son las dos y cinco.   ”分”は接続詞の”y(and)”でつなぎます。
 2時5分です。
○Son las dos y diez.
 2時10分です。
○「15分」の表現
 クオーター(四分の一)を表す “cuarto”で表現し、”quince”(15)は使いま
 せん。60分の4分の一の考え方です。丸い時計を四等分しています。
 ⇒Son las dos y cuarto.
  2時15分です。
○「30分」の表現
 ハーフ(半分)を表す”media”で表現します。
 Mediaとは、英語のmidnight(夜中)のmid-(半分=真ん中)と同じ語源です。
 ⇒Son las dos y media.
  2時30分です。
○「30分を過ぎたら」⇒「30-x分」で表現します。日本語とはやや異なり、
「~時~分前」という表現が用いられます。「~分前」は、マイナス(menos)で
引き算されます。
 ⇒Son las tres menos diez.
  3時10分前です。=2時50分です。(3時に対してマイナス10分)
 ⇒Son las tres menos cuarto.
 3時15分前です。=2時45分です。(ここでは、15分なので→cuartoが用いられ
 ます)
では、ここで・・・
少しややこしく感じられるかも知れませんが、四則計算を暗算で行うのは、日本
人の特技のようですが・・・ここでは30分以降の表現を「引き算」で解説しまし
た。
(ちなみに、シベリア抑留経験のある人から聞いた話しですが・・・縦何人を横
何人で掛け算して人数をはじき出すことを日本人はすぐにしますが、監視のソ連
兵は、隊列の人数を一人づつ数えなければ一体何人いるのか分からなかったとい
う話しがありました・・・また、海外での買い物でお釣りを出すのに引き算して
すぐに出すのではなく、足し算しながら段階的にお釣りを渡すことは知られたこ
とでもあります。)
しかし、スペイン人は、実は、「足し算」で表現しているのです!
例えば、「2時40分です」ならば、先に2時の次の時刻=3時を言ってくださ
い。(Son las tres・・・)
次にmenos(マイナス)を言って、そして、アナログ時計を思い浮かべて・・・40
分に相当するところに「長い針を固定」してイメージしてみてください。(Son
las tres menos・・・)
それから・・・3時(=60分)のところまで、幾ら足せば、3時(=60分)に
なるのか?
答えは、40+20=60ですから、「20分」になりますね。この「40に足
すことの20」をmenosの後に言えば良いのです。(Son las tres menos veinte.)
○~時頃は : alrededor de..
 ex. Son alrededor de las dos.  (2時頃です)
○~時近く : cerca de…
 ex. Son cerca de las dos.  (2時近くです)
○~少し過ぎ: . y pico.
 ex. Son las dos y pico.  (2時少し過ぎです)
○~時丁度 en punto
 ex. Son las dos en punto.  (2時丁度です)
■ドリル-2■
次の時刻を表現しましょう。
ア)3時5分、4時10分、5時20分、6時25分
イ)3時15分、4時15分、5時15分、6時15分
ウ)3時半、4時半、5時半、6時半
エ)3時15分前、4時15分前、5時15分前、6時15分前
オ)2時55分、3時50分、4時40分、5時35分(~分前に言い直して・
・・)
※時刻に関する単語を覚えておきましょう:
hora / horas     時刻
minuto / minutos   分
segundo / segundos  秒
☆「何時に?」の表現
スペイン語で「何時に~しますか?」の表現は、英語で言えば、
At what hour ~?というような形式の表現をします。
スペイン語では・・・?A que hora ~?と問いかけます。
そして、「~時に」は前置詞a(英語で言うat)を用いて、a la(las)~と答えます。
例)-?A que hora vamos al cine? (何時に映画に行こうか?)
  - Vamos a las ocho. (8時に行きましょう)
※不規則動詞”ir”の直説法現在の活用
語根√v-に-oy, -as, -a, amos, -ais, -anという-ar動詞の「第一人称単数=私
は=-oyという変則パターン」の動詞です。
○Vamos a + 不定形で「不定形しましょう」の表現をします。
 ex. Vamos a cantar. (歌いましょう)
○ir a + 不定形で「不定形するつもりだ」という英語でいう近接未来(これか
ら確実に来る時間帯でやってしまう意志を述べる)を表現します。
 Ex. Voy a estudiar El Arte de Guerra de Sun Tzu. (私は孫子兵法を学ぶつ
 もりだ)
■ドリル-3■
– ?A que hora estudias las tacticas romanas? (君は何時にローマの戦術を研
究するのですか?)
– Estudio a las ~
次の時刻で答えましょう。
ア)3時5分に、4時10分に、5時20分に、6時25分に
イ)3時15分に、4時15分に、5時15分に、6時15分に
ウ)3時半に、4時半に、5時半に、6時半に
エ)3時15分前に、4時15分前に、5時15分前に、6時15分前に
オ)2時55分に、3時50分に、4時40分に、5時35分に(「~分前に」
に言い直して・・・)
※A que hora ~ ?は、?Cuando~?(=when~? いつ?)と置き換えが可能です。
しかし、?cuando~?は、日付、曜日、昼か夜か等の大きい区分、即ち、過去・現
在・未来のどの時制の区分で行為を行うのか?を尋ねます。
もし、具体的に行為の時間を答えたければ、「~時に」と答えてもかまいません。
(要するに?A que hora ~?は、「行為をする時間を具体的に尋ねる」ことです)
比較)
?Cuando vais a la Gran Via? (君たちは、いつグランビアに行きますか。)
(Gran Via=直訳すれば「大きな通り」ですが、マドリードにある銀座通りのよ
うなところです。)
答えて曰く(その一)
→ Vamos por la noche. (por la tarde. / por la manana)
(私たちは、夜に行きます。)(午後に、昼間に / 朝に、午前中に)
答えて曰く(その二)
→ Vamos a las seis de la tarde.
(私たちは、午後の6時に行きます。→時刻を具体的に)
※~時頃に: a eso de~
 ex. Vamos al cine a eso de las once. (私たちは、11時頃映画に行きま
 す。)
益々、表現が増えてきます!次回をお楽しみに。
今日はここまで。
Hasta luego!