日の丸父さん(18)「夏の宿題」 石原ヒロアキ

日の丸父さん

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はじめに

 自衛官は、警察や消防と違って、普段あまり一般の人との接触はありません。最近は災害派遣やPKOなどでメディアへの露出も多くなりましたが、もともとテレビなどでもその姿を見ることはめったにありません。
 ですから一般の人は自衛隊に対し、かなりの誤解や偏見があると思います。自衛隊の広報などはその誤解を解くために、ゆるキャラをつくってみたり、各地でアニメとコラボしたイベントを催してみたり努力しているようですが、実際のところ効果はどうでしょう?
 戦車を見たら萌えるというマニアがいましたが。私は以前、仕事の関係で人民解放軍の将校と話をしたことがあるのですが、彼らは自衛隊を旧軍とオーバーラップさせているところがあり、かなり恐れていました。このような誤解や偏見は逆にあってもいいかなと思います。
 石原ヒロアキ「まんが館」を立ち上げました。 現役時代に頼まれて描いた4コマ漫画もアップしています。
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自衛隊っていつも何しているの?

 「自衛隊っていつも何しているの?」と、娘からよく聞かれました。そのとき子供に自衛隊の仕事について説明するのはかなり難しいと痛感しました。自営業の子供はこのような問いはまずしません。親の仕事と生活が密着しているからです。サラリーマンにしても、何をしている会社かは説明できますし、公務員でも警察、消防、役所などは身近にあります。まして先生などは毎日見ています。でも自衛官はどうでしょうか?
 いつも駐屯地や演習場、または基地にいて、めったに市民と接触しません。最近は阪神淡路大震災や東日本大震災などを契機にTVなどへの露出度が多くなりましたが、PKO以外あまり通常の自衛隊のことは報じられません。いつも自衛隊は訓練や装備品の整備をしているのですが、これがなかなか説明しづらいのです。
 まず保全の問題があります。自衛隊は我が国を侵略しようとする敵と、武力をもって戦い、排除することを主な目的とする組織です。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」なので、当然敵は我のことを知ろうとします。そこに保全の重要性があるのですが、敵だけではなく、自分の家族にも適用されるので仕事のことはなかなか具体的に話せません。
「戦車に乗っている」「戦闘機を操縦している」くらいならまだ簡単でしょうが、情報や後方支援など、保全性が高い職務や地味な職務についている人は説明が難しいでしょう。
「日本を守っている」と言っても小学生は理解してくれません。「百年兵を養うは一日これを用いんがためである」という軍隊や自衛隊の本質を理解してもらうためには高校生以上の理解力が必要でしょう。
 もう一つの問題は、特殊な専門性にあります。現代の軍隊(自衛隊)は科学技術のかたまりのようなところがあります。私は職種が化学科なのですが、化学、生物、核兵器の話をしても小学生の娘にはなんのことかさっぱりわかりません。
 最近、金正男VX殺人事件に関して、ある新聞社から専門家としてのインタビューを受けましたが、大学院を卒業して就職している娘から「お父さんって化学兵器の専門家だったんだ」と今さらながらはじめて知ってもらいました。
 これがアメリカだとちょっと事情が違っていて、軍で生物兵器の研究をしている者が、私に「子供が、小学校で先生からお父さんの仕事について聞かれたら『生物兵器の研究している。扱っている物は炭疽菌、天然痘・・・』と私の研究対象を全部言った」と誇らしげに話していました。やはり軍の存在が当たり前のようにある国とはバックボーンが違うなと感じたのですが、結構オープンなんだとも感じました。
 家族に仕事のことを理解してもらうのは大切です。災害派遣や有事の際には長期間留守にしますし、時には危険な業務につくこともあります。なにも知らないと家族は不安でたまりません。そのために広報があるのですが、部隊でも記念日などに家族を呼んで親睦を深めたり、いつでも家族の相談にのったりとさまざまな努力をしています。
 最近は自衛隊に対する理解が少しずつですが進んでいるのがわかります。子供が学校でいじめられることはありませんし、「税金泥棒」などと公然と非難されることはなくなりました。しかしこれからも自衛隊を正しく理解してもらうよう努力は必要です。日本周辺の国際環境が厳しくなってきている昨今ではとくにそうです。なぜなら自衛隊を有事の際にどのように使うかを政治家や政府が決める前に、世論を形成する選挙民である国民が決めるからです。
 最後にエピソードを一つ紹介します。祖父の葬儀の後で、お骨を墓石の下に入れる話になったとき、親戚の人たちから「おまえ自衛官だろ、力あるだろ、墓石動かして爺さんを入れてくれ」と言われたことがあります。自衛官はスーパーマンではありません。どこにでもいるごく普通の社会人なんです。
(いしはら・ひろあき)
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『日の丸父さん(1)』(1~12話)
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【著者紹介】
石原ヒロアキ(ペンネーム)
1958年、宮城県石巻市生まれ。青山学院大学卒業後、陸上自衛隊入隊。第7化学防護隊長、第101化学防護隊長を歴任。その間地下鉄サリン事件、福島第1原発災害に出動。2014年退職。学生時代赤塚賞準入選の経験を活かし、戦争シミュレーション漫画『ブラックプリンセス魔鬼 全10巻』(電子書籍版)を発売中。『漫画で学ぶサイバー犯罪から身を守る30の知恵』(ラック サイバー・グリッド・ジャパン・並木書房)の漫画を担当。家族3人(一女)。本名:米倉宏晃。
『ブラックプリンセス魔鬼』
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このホームページは部内用なので普通閲覧できませんが、CBRN(シーバーン)の啓蒙も兼ねて化学学校の許可を得て掲載しています。ぜひご覧ください。

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