【第55講】スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その33)

今回は、人称代名詞(私、君、彼・・・)について「格」(*)の概念を基礎として
整理すると共に、その用法を学んで行きましょう。
特に、目的格(与格、対格の別名など)に置き換えられた名詞(「それを」、「それら
を」)については、英語では”it”(単数)とか”them”(複数)とかで済みますが、
スペイン語では、性・数・格に従って単語が使い分けられたりするので、少しややこし
いと感じるところでもあります。
(*)http://espania.okigunnji.com/2009/09/3311.html を参考

しかし、人称代名詞を整理しておくと、原典講読など、長文を解読して行く際には不可
欠な項目になっている関係上、かなり役に立ちますので、この機会に何回も「名詞を
人称代名詞に置き換える練習」を重ねておいてください。
では、スペイン語の人称代名詞を大きく、「格」に基づいて整理すると・・・次のよう
に分類されます(括弧内カタカナは、日本語で相当する格助詞です):
ア)主格(~ハ、~ガ)
イ)所有格(~ノ)
ウ)与格(~ニ)
エ)対格(~ヲ)
オ)前置詞格(前置詞の示す日本語格助詞に準ずる)
カ)再帰代名詞(”~自身”の意味で与格・対格の機能を兼有する)
1)主格人称代名詞
文中で主語になります。文中で見つけたら、常に「~ハ、~ガ」という”送り仮名”を
つけましょう。些細なことであり、ホンの0.2秒くらいの気付きがあるかどうかの差
ですが、これが長文を解釈して日本語に訳して行く時にとても助かるのです。
第一人称・単数 yo(私ハ)
第二人称・単数 tu(君ハ)
第三人称・単数 el(彼ハ) ella(彼女ハ) usted(貴方ハ)
第一人称・複数 nosotros(私たちハ), nosotras(女ばかりの場合)
第二人称・複数 vosotros(君たちハ), vosotras(女ばかりの場合)
第三人称・複数 ellos(彼らハ) ellas(彼女らハ) ustedes(貴方がたハ)
☆tuとustedの違い
人間関係が親しい間柄→家族、同僚、クラスメート、仲間として認めた間柄、年下の
者、目下の者などに話しかけるには、日本語でも”タメ語”になりますが、これを外国
語でもやっているもの・・・と理解しておきましょう。そして、スペインなど欧米で
は、tuで話し合う間柄なら、必ず苗字ではなく「名前」で呼び捨てにするかニックネー
ム、愛称などで呼びかけ合うのです。
よって、欧米の映画などで、「俺のことを今から名前で呼んでくれ」とか、「ジャック
と呼んでくんな」とか、「私、アンジーよ」などと言っている場合には親しい間柄、
打ち解けた間柄になることを示しています。
あなたは、スペイン人と知り合った場合、普通は、友人なら必ず名前で呼び捨てにし
合い、動詞の活用も全て「第二人称」でやり取りするのです。
もし、失礼だ・・・とか日本風に考えて常にustedを使って、「第三人称」の活用で
通していると・・・それは、「冷たく」感じるものとなります。スペインの家庭では、
親が子供を叱る場合、第二人称を使わないで第三人称を使う時がありますが、子供に
とっては、親子の縁を切られたような感覚のするものなので・・・とても反省してしま
うものです。
では・・・親しくなかったら・・・自然と相手とは一線を画した物言いになります。
これが敬語や丁寧語の基本的な概念になっています。この敬語に相当する呼びかけが
ustedになっています。こちらの場合は、相手を呼ぶ場合、必ず、敬称であるSenor(男
性)、Senorita(未婚女性)、Senora(既婚女性)に苗字を付けて連続して発音してく
ださい。そして、動詞の活用は常に第三人称を用います。
また、敬称は、あいさつの言葉(ex. Buenos dias, senor.)にひっつけて、連続して
一語のように発音すると、より丁寧な物言いになります(「おはよう」ではなく「おは
ようございます」)。英語でも、Good morning.だけではなく、Good morning, sir.の
方が丁寧ですね。軍隊でもYes, sir.と言っている意味が分かってくると思います。
日本語に訳す場合の基準は、tuならタメ語で訳し、ustedなら敬語、丁寧語を使って
訳してください。
☆ustedって何?
あなたは、ustedが何故、「貴方ハ」と丁寧な物言いとして区別されるのか・・・に
違和感があるのではないでしょうか。このustedの正体とは何なのでしょうか?
日本の天皇陛下が海外へ行幸されたり、スペイン国王や英国女王が来日されたり・・・
その時、マスコミの使う言葉(英語など)を見てみると興味深いことがあります。
それは・・・「貴方ハ」とか、「彼女ハ」とかに相当する人称代名詞を使わないで、
Your Majesty(呼びかけの場合), Her Majesty(呼びかけない場合)をつかって第三
人称で動詞を活用しています。
(英語は、 http://park1.wakwak.com/~english/note/note-majesty.html が分かりや
すいですよ。)
スペイン語も、呼びかける相手を丁寧にする訳なので・・・昔、今から約500年程前
に・・・英語と同じ語順と発想でVuestra merced(第二人称・複数で丁寧さを、そして
mercedがお恵、慈しみの意味)と呼びかけ、日本語でいうと「御身ハ」という意味で
使い始めたのです。
このVuestra mercedが使われる間に発音しやすいように省略されて来た結果、今日の
ustedという言葉になりました。
ちなみに、mercedの複数形は、mercedesになりますね。こちらは、女の名前になって
います。日本語に訳すのなら、「めぐみ」、「恵子」という名前が相当します。
(北朝鮮の拉致被害者の横田めぐみさん、有本恵子さんが奇しくもスペイン語に訳すと
同じMercedesになるのは何を意味するものなのか?そして、京都外国語大学の先輩であ
る松木薫さんは、同じイスパニア語学科ですし、北朝鮮の被害者数名がこのメルマガの
ように”スペイン語”を基本とすると何かしらで繋がってくることは不思議です。)
また、Mercedesは、ダイムラー・ベンツ社の車名でも定着しています。
2)所有格人称代名詞
これは、所有を表す人称代名詞で、名詞にかかる関係上、名詞の性・数に合わせて語尾
の一致を行います。故に、別名、「所有形容詞・前置形」、「所有形容詞・後置形」と
いう言い方もあります。次の二つの種類に分かれています。
甲)前置形:常に名詞の前に置かれる。単数形・複数形がありますが、
nuestro, vuestroは、男性・単数、男性・複数、女性・単数、女性・複数の四種類の
語尾がありますので注意してください。
第一人称・単数 mi, mis
第二人称・単数 tu, tus
第三人称・単数 su, sus
第一人称・複数 nuestro, nuestros, nuestra, nuestras
第二人称・複数 vuestro, vuestros, vuestra, vuestras
第三人称・複数 su, sus
ex. mi libro mis libros
mi mesa mis mesas
nuestro libro nuestros libros
nuestra mesa nuestras mesas
乙)後置形:常に名詞の後ろに置かれる。全て男性・単数、男性・複数、女性・単数、
女性・複数の四種類の語尾がありますので注意してください。
第一人称・単数 mio, mios, mia, mias
第二人称・単数 tuyo, tuyos, tuya, tuyas
第三人称・単数 suyo, suyos, suya, suyas
第一人称・複数 nuestro, nuestros, nuestra, nuestras(語順は名詞の後ろに!)
第二人称・複数 vuestro, vuestros, vuestra, vuestras(語順は名詞の後ろに!)
第三人称・複数 suyo, suyos, suya, suyas
ex. el libro mio los libros mios
la mesa mia las mesas mias
el libro nuestro los libros nuestros
la mesa nuestra las mesas nuestras
パターン → 冠詞(定冠詞・不定冠詞)+名詞+所有格人称代名詞・後置形(性・数
の語尾一致)
また、後置形は、意味も強く、「~のもの」も表します。その場合は、当該の名詞を
定冠詞に置き換えて、その後ろに所有格人称代名詞・後置形を持って来ます。
ex. Este fusil es muy moderno, pero el tuyo es muy arcaico.
(このライフル銃は、とても近代的だ。しかし、君のはとても時代遅れだ。)
Esta pistola es automatica, pero la suya es revolver.
(このピストルは、オートマチックだ。しかし、彼のものはリボルバーだ。)
※この場合、la suyaの部分が「彼のもの」、「彼女のもの」、「貴方のもの」と
ややこしければ、具体的に言うために前置詞”de”( of )を使います。
Esta pistola es automatica, pero la de Carmen es revolver.
(このピストルは、オートマチックだ。しかし、カルメンのは、リボルバーだ。)
Esta pistola es automatica, pero la de mi amigo es revolver.
(このピストルは、オートマチックだ。しかし、僕の友人のは、リボルバーだ。)
※自動拳銃(オートマチック)も回転式拳銃(リボルバー)も使用目的と手段で評価も
違いますので、あなたはこだわらない方が良いと思います。
次回は、いよいよ与格、対格、前置詞格と続きます。乞ご期待!
今日はここまで。
Hasta luego!

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